2026年5月28日掲載 − HOME − 脱原発一覧 − 記事
南鳥島で最終処分の文献調査するって本気?

日本で高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)の最終処分地の選定作業が行われているのは、どれくらい知られているだろうか。


今年2026年3月3日に突然、国が東京都小笠原村に対して最終処分立地に関して文献調査をしたいと申し入れたと聞いて、ぼくはびっくりした。


日本の最終処分地はまず、公募制で文献調査をして候補地を絞って選定していくのではなかったのか。最初に北海道寿都町が応募し、その後北海道神恵内村、佐賀県玄海町が応募した。寿都町と神恵内村は2020年に応募しているから、文献調査の結果が出ていていいはずだ。確かに、文献調査の報告書は2024年11月に出て、その後に市民の意見募集も終わったという。


しかし、その後が進んでいないようなのだ。文献調査の後、現地調査などの手続きがないとおかしい。北海道には核のゴミの持ち込みを認めない条例があるので、知事が道条例にしたがって反対すると、手続きはおじゃんになるのを心配しているのか。


それならなんのための公募制による手続きなのか、と思ってしまう。ぼくはドイツ全土を調査対象にして公平に順次候補地を絞り込んでいくドイツの手法を見ていて、日本のやり方には無理があり、本気で安全性を主眼にして最終処分地を選定するつもりなのかどうか、たいへん疑問に思っている。


ここにきて公募制を逸脱して、南鳥島で文献調査だという。聞いたこともない島なので、ぼくはどういうところなのかと思って調べてみた。


東京都小笠原村の小笠原諸島にある島で、本州から約1800メートル離れたところにあり、日本の最東端にあるのだという。民間人は立ち入り禁止で、防衛省と国土交通省の職員だけが常駐している。


ぼくはああこれかと思った。立地場所が原発のない電力最大消費地の東京都であることと、一般市民の居住地から離れているので、市民の反対がないので手続きがやりやすいからかと思った。その上国有地だ。


しかし島の面積は約1.5平方キロメートルというから、最終処分に必要な地上施設には小さすぎる。島は水深数千メートルの平坦なところにあるというから、実際に核のゴミを処分するエリアは、それよりももっと深いところでないといけない。その条件では、地層処分する地下に水平坑道はつくりにくい上、莫大なコストがかかる。


地層は玄武岩の上に石灰岩が載っているというから、石灰岩に処分するのならダメだ。石灰岩は水に溶けやすいので、処分する地層に簡単に水が入って処分地層が溶けてしまう可能性がある。太平洋に放射性物質を拡散するつもりなら別だが。


それだけの情報さえあれば、南鳥島が核のゴミの最終処分地として不適切なのは明らか。それでなぜ、文献調査をする必要があるのか。まったく無駄な話ではないのか。さらにそんな島に関して、地質の適正を調査できる文献が十分にあるとも思えない。


こう見ると、何が文献調査だと思う。正気の沙汰とは到底思えない。


ぼくは、最初から真剣に文献調査をする気がないのだと思う。ドイツから見ると、何らかの政治的な思惑から、国が原発のない電力最大消費地東京都でも文献調査すると見せかけるだけのものではないかと思ってしまう。


ドイツから見ただけの推測だが。


文献調査する候補地を公募制で募っても、3自治体しか応募しないのだから、それで日本において最も最終処分に適する立地場所を選定できるとは思えない。最終処分地の立地を認めてくれるところを優先しているだけだ。


それでは、安全ではなく、アクセプタンスを優先しているにすぎない。それで国は、国民の健康と安全を守れるのか。原子力の危険があまりにも認識されていないのではないか。


(2026年5月28日)
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関連サイト:
ドイツの連邦最終処分機構(BGE)の公式サイトページ
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