再生可能エネルギーの発電コストは高いといわれます。
この問題について、本サイトではもう何回もいろいろな形で反論してきました。再エネは逆に、安いのです。
再エネが安いのは、燃料費など限界費用がほとんどかからないからです。ですから、電気の卸売市場では再エネで発電された電気が一番安く取引されています。
その再エネで発電された電気を割高にしているのが、再エネを拡大させるために取り入れられた固定価格買取制度(FIT制度)による負担です。
これは、再エネで発電された電気を流通価格よりも割高で買い取って、再エネへの投資を拡大させようとするインセンティブ制度です。
ただ、まったく再エネがないと想定した場合の電気料金を推計すると、再エネがあったほうが、このFIT制度があっても電気料金が安くなるのは、すでに本サイトで報告しました。
FIT制度は、再エネのための補助制度だという人もいます。でも、ぼくはそうは思いません。
まず第一に、FIT制度を負担するのは最終消費者であり、政府ではありません。そのために、政府は一銭も支出していません。間接的な補助だともいわれますが、ぼくはそれも適切ではないと思います。
また、このFIT制度による負担を発電コストだとする人もいます。これにも、ぼくは同意できません。
そうではなく、FIT制度による負担は社会コストだと認識すべきです。それは、どうしてか?
再エネによる発電という新しい発電方法を取り入れるのは、社会全体の課題だからです。今、社会が一体となって再エネに切り換えことが求められています。
また、従来の発電方法である火力発電や原子力発電においても、直接発電には関係しないが、それに付属して発生するコストを発電コストや補助とされたことはありません。
火力発電では、環境汚染によって莫大なコストが発生しています。原子力発電では、その研究開発のために莫大な投資が行われてきました。また、最終処分などバックエンドに莫大なコストが発生します。
これらのコストはこれまで、外部コストとして社会全体で負担してきました。
こうした過去の経緯を見ると、FIT制度による負担だけを発電コストや補助とするのは、どう見てもおかしいと思います。発電コストでも、補助でもありません。
社会コストと見るのが最も適切だと、ぼくは思います。
(2019年10月23日)
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