2020年7月04日掲載 − 再生可能エネルギー
ドイツで脱石炭法成立

ドイツ連邦議会(下院)と参議院(上院)は2020年7月3日、脱石炭法を賛成多数で可決した。それに伴い、ドイツは2038年までに段階的に石炭火力発電と石炭炭鉱を停止し、脱石炭を実現する。


これは、産業革命から2世紀半続いた石炭社会から撤退することを意味する。時代の一つの大きな転機といっていい。


脱石炭問題については、政治、経済、労働、環境らの各分野からそれぞれ代表が集まって諮問委員会が設置されていた。約1年半くらいの時間をかけ、社会的コンセンサスを求めるために審議が重ねられていた。その妥協案が、2020年1月末に提示された(「ドイツ政府、脱石炭に向けてロードマップを確定」)。


今回、その社会的コンセンサスに基づいて脱石炭が法制化された。


それによると、電力側は停止される石炭火力発電所に対して、総額43億5000万ユーロ(約5000億円に相当)の損害賠償を受ける。さらに、石炭火力発電と露天掘り炭鉱など石炭産業に依存する地域には、構造改革と失業者支援のため、400億ユーロ(約5兆円)が給付される。


しかし、段階的に石炭火力発電所を停止するスケジュールでは、試問案で提案されたよりも停止時期が遅れる。最終的には2038年までの脱石炭を維持するが、それまでに石炭火力発電所の停止時期が後ろ倒しされる。


法律は、脱石炭時期を2035年に前倒しする可能性を残しているが、緑の党や環境団体は、2030年までに脱石炭を実現することが可能で、気候変動の問題を考えると、2030年までの脱石炭が必要だと批判している。


電力業界に対する損害賠償についても、現在石炭火力発電では利益を上げることができず、赤字経営が続いている状態。このままの状態では、経済的に石炭火力発電は自然消滅していた。その意味で、今回決まった損害賠償は経済論理に基づくものではなく、電力業界に対する手厚い補助だとの批判も強い。


また、今回規定された脱石炭スケジュールでドイツが国際的に約束した二酸化炭素などの温室効果ガスの削減目標を達成できるのどうかも甚だ疑問だ。ドイツは、2030年までに1990年比で温室効果ガスを55%削減するとしている。それが達成できないと、ドイツはEUに対して多額の違約金を支払わなければならない。


環境団体は、成立した脱石炭法を厳しく批判。今後も、2030年までの脱石炭を求めてさらに抗議活動を強化するとしている。


(2020年7月04日)
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