亡くなった友人は生前から、火葬によって二酸化炭素を排出させたくないといって土葬を選んでいた。二酸化炭素による気候変動を考えてのことだった。故人の意思を尊重し、友人は4年前に土葬された。
亡くなって埋葬することで、よく「土に返る」という。でも本当に、そうなのだろうか。
土葬でよく問題になるのは、場所がたくさん必要なこと。その結果、埋葬する場所が足りなくなる。さらに土葬では、地下水を汚染することが大きな問題となる。最終的には土に返るのだろうが、それまでにはたいへん長い時間が必要となる。
それに対して火葬の場合、埋葬にそれほど多くの場所を必要としない。土にも近いような感じがする。
ただ問題は、火葬によって排出される二酸化炭素の問題ばかりではない。火葬で燃えるのは有機物。遺灰には、重金属などがたくさん残っている。それで、本当に土に返るといえるのだろうか。
こうしてみると、土葬にしても火葬にしても、それほど環境にやさしくないのではないかと思えてくる。
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ノーベル文学賞を受賞したドイツの作家ゲルハルト・ハウプトマンのお墓。ドイツ北東部バルト海にある小さな島ヒッデンゼーにある |
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先日偶然にも、環境にやさしく、持続可能に埋葬する技術を提供するスタートアップがベルリンにあることを知った。その名前は「わたしの土(Meine Erde)」。遺体をコンポスト(堆肥)化することで、持続可能な埋葬を実現する。
微生物を使う新しいグリーン・バイオテクノロジーによって、40日間で遺体を堆肥にしてしまうという。最新の技術だ。それを墓地に埋葬すれば、遺体はすぐに土に返ることになる。
この技術では、二酸化炭素は排出しない。地下水も汚染しない。重金属の濃度が高くなることもない。消費するエネルギーも少ない。
埋葬まで持続可能にする「革命児」的な扱いをしている人たちもいる。
だがそれが普及するまでには、埋葬においてまで環境を優先させる必要があるという意識改革も必要になる。
さてみなさんは、どう思いますか。
(2022年5月30日)
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