プラスチックも化粧品も石油製品
前回、マイ箸やマイカップのことについて書いた。
これは、環境への負担を考えると、使い捨て社会からリユース社会に戻るようにしなければならないということでもある。しかし、単にリユースするだけでは不十分なはずだ。環境への負担を軽減するには、プラスチックをリユースするのでは、プラスチック自体を使わないようにしなければならない。
それは、プラスチックが石油製品、つまり化石燃料からできているからだ。化石燃料を消費することから脱皮する。それが今、ぼくたちに課せられている課題だ。早急にそうしなければ、地球の環境は保護できない。
再生可能エネルギーにエネルギー転換することが、注目されている。ただそれだけでは、環境は守れない。再エネ社会となると同時に、化石燃料である石油を使わない脱石油社会になることが求められる。
ドイツでは昨年2021年7月3日から、使い捨てプラスチック製品の使用が禁止されている。それについては、すでに前回書いた。禁止の対象となるのは、プラスチック製のカップ、食器、ナイフ・フォークなどのカトラリー、ファーストフード用の容器、ストロー、攪拌棒、風船ホールダー。生活の中から、プラスチックをできるだけ排除するということだ。発泡スチロール製の容器なども認められない。
ファーストフードでは今、テイクアウトが盛んになっている。コロナ禍でテイクアウトが俄然、増えてきた。しかしテイクアウトする容器に、まだプラスチックが使われていることもある。それは、おかしい。違反ではないのか。特に寿司などのテイクアウトに、塩化ビニール製の容器が使われていることがある。塩化ビニールは環境ホルモンともいわれ、環境に有害だ。すでに指摘したが、日本製のサランラップのつきがいいのは、その塩化ビニールのおかげだ。
日本のスーパーでは、食品が何でもかんでもサランラップに包まれている。そのサランラップは、何でできているのか。環境ホルモンが使われていないか。食品を買う前に、それを確認したい。食品がサランラップで包装される必要があるのかどうかも、考えたい。
ドイツでは食品が、紙やコンポスト化できる素材で包装されるものが増えている。野菜などは、包装されていないものが多い。特に、有機栽培された食品にその傾向が強い。チェコレートも、銀紙やビニールではなく、コンポスト素材で包まれているものが出てきた。
買い物した時に、商品を入れるビニール袋も問題だ。ドイツでは、ビニール袋に代わり、布製のマイバックが普及してきた。それは、日本でも知られていると思う。ビニール袋の使用を減らすため、スーパーマーケットではビニール袋は有料で、買わなければならなかった。
しかし今、ビニール袋の使用、販売自体が廃止されている。テイクアウトやショッピングの時には、ビニール袋に代わって、コンポスト化できる袋や紙袋が使われるようになった。ゴミ袋も、コンポスト化できる袋に代わってきている。
使い捨ての食器は、紙食器ばかりでなく、木や植物の葉などからできた生物起源のものも出てきた。ナイフもフォークも木製だ。そればかりか、ボールペンもプラスチック製ではなく、木製が増えている。髭剃りさえも、竹製のものが出ている。
前回、マイ箸について書いた。マイ箸では、割り箸がなぜいけないのかと、反論されることがある。
木には、硬いところと柔らかいところがある。柔らかいところは、窓や家具、柱などの建築材としては使えない。だから、経済価値が小さい。割り箸では、本来用途がなくて捨てる柔らかい部分を使っている。だから、割り箸は資源の有効利用で、環境にもやさしく、問題ないといわれる。
それでも、使い捨て割り箸はいけないのか。
ぼくは、マイ箸を増やして、使い捨て割り箸を少なくするべきだと思う。ボールペンなどの例でもわかるように、割り箸に使ってきた柔らかい木製素材をプラスチックの代わりに使うほうがいい。その方がこれからは、割り箸よりも需要が増えると思う。新しい用途に使うことでプラスチックを排除できるのなら、マイ箸で代用できる使い捨て割り箸はなくてもいい。
石鹸や洗剤、化粧品のことも忘れてはならない。これらは化学製品、つまり石油を原料としている。これも、生物起源の油を使えば、石油はいらない。実は人類は、石鹸をオリーブ油などを原料にしてつくっていた。それが、産業革命によって石炭や石油などの化石燃料を使うようになり、化学製品の石鹸が市場を支配してしまったのだ。
今、生物起源の石鹸や洗剤、化粧品も増えている。店頭では、これ何でできているのかと、表示を見て、確認してはどうだろうか。そして、自分はどの商品を買うのかを考えてみたい。
こうして見ると、ぼくたちの生活においても、環境にやさしく生活しなければならないところが、まだたくさんある。どの商品を買うのか。それを選択することによって、ぼくたちは環境を破壊するのか、保護するのかを選択している。
それも自覚したい。
2022年3月23日、まさお
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