地道な市民

持続可能な社会の中心は市民

 持続可能な社会を造るには、再エネは不可欠だ。再エネは誰にでも使えるものなので、一般市民が自分で再エネを使うチャンスが生まれる。そうして、再エネによる利益が社会全体に分配される。そうすることで、持続可能な社会造りにおいて企業利益ではなく、市民の利益を優先する。

 それが、持続可能な社会と再エネを結ぶ最も重要なポイントになる点だ。

 ここで、さらに一つ注目しておきたいポイントがある。それは、市民の利益を優先させないと、持続可能な社会が不可能になることだ。

 それは、なぜか。

 現代社会の状況を見ればわかると思う。企業利益が優先され、企業で働いても働いでも、十分に余裕を持って生活できる市民は少ない。フルタイムで働いても、十分に食べていくだけの収入を得ることのできない人がいる。十分な給与をもらっても、仕事に追われて自分の生活、自分の時間を持てない人もいる。

 この状況では、若い世代に家庭を築いていくだけの金銭的、時間的な余裕はない。たとえ結婚して家庭を持っても、日本では受験競争が激しく、こどもの教育に小さい時からたくさんのお金を支出しなければならない。それでは、何人もこどもを育てることはできない。

 それが、出生率の低下を招く。高齢化が一層進み、人口が減少する。それでは、持続可能な社会はできない。社会は停滞どころか、縮小していく。

写真:ドイツ北西部のゼーベックでは、市民が庭などから出た緑のゴミをゴミ処理施設に持ってくる(写真左)。ゴミ処理施設では、それをコンポストにして肥料として提供する(写真右)。

写真:ドイツ南西部のジムマーンでは、市民が庭などから出た枝や緑のゴミを集積場に持ってくる(写真左)。それを回収して選別し(写真右)、暖房用の燃料として使う。

 それにさらに追い打ちをかけるのが、IT技術やAIなどの新しい技術だ。新しい技術によって、機械がたくさんのことを自動で処理できるようになる。将来、たくさんの人が職を失い、働くということが大きく変化するのは間違いない。これについては後で述べるので、労働の問題はここでは示唆するだけとする。

 それでは、ぼくたちは持続可能に生活していくことはできない。

 持続可能な社会を造るには、エネルギー供給だけを持続可能にするのでは不十分だ。ぼくたちの生活自体も、持続可能にならなければならない。そのためには、どうするのか。

 ぼくたちの生活も、持続可能なものと連結しなければならない。エネルギーを持続可能にするなら、エネルギーを生活と労働から切り離してならない。エネルギーと生活を密着させる方法も考えなければならない。

 ぼくは、持続可能な社会造りにおいてこの点を忘れてはならないと思う。そして、エネルギーを生活と労働に結びつけてくれるのは、再生可能エネルギーしかないと思う。再エネがみんなのもので、誰にでも使う権利があるからだ。

 持続可能な社会においては、市民自らが再エネと共生し、再エネを公平に、平等に利用していくことが重要だ。それは、市民が中心にならない限り実現できない。

(2021年6月10日、まさお)

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関連サイト:
ドイツの学術界による2030年持続可能性科学プラットフォーム(ドイツ語)

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