2026年8月12日掲載 − HOME − 脱原発一覧 − 記事
猛暑でハンガリーとルーマニアでも原発停止

1カ月ほど前、フランスとスイスで猛暑のため原発を停止するか、出力抑制していることについて報告した(フランスとスイスでは猛暑で原発停止)。


それは、ヨーロッパの原発が主に内陸に立地し、核分裂によって発生した熱を河水によって冷却し、その排水を川に戻しているので、それによって河川の水温が上がり、周辺の生態系に大きな影響を与えるからだ。


記事では、冷却後の排水をドナウ川に排出しているハンガリーのパクシュ原発とルーマニアのチェルナボーダ原発でも、記録的な猛暑の影響からドナウ川の水位が下がり、水温が上昇しているが、まだ稼働中と報告した。



ハンガリーのパクシュ原発では、旧ソ連製加圧水型炉VVER440が4基、ルーマニアのチェルナボーダ原発では、カナダ製の重水炉CANDU(キャンドゥ)が2基稼働している。


しかし、それも時間の問題だった。


パクシュ原発
ハンガリーのパクシュ原発。原子炉は旧ソ連製加圧水型炉VVER440で、4基ある。2007年、現地で撮影

その後、ハンガリーでは4基のうち3基を停止し、1基を出力抑制する体制に入った。ルーマニアでも2基のうち1基を停止し、原発に向かう川の水量を上げるため、はしけを沈めて仮設の堤防を設置する計画で、そのためにルーマニア軍が水底の岩盤を爆破したりしている。


ただ報道機関は、ルーマニアでは13日にも残りの1基も停止されてしまう可能性を指摘している。


ぼくは両方の原発を現地で取材したことがあるが、パクシュ原発がドナウ川に近いところに立地しているのに対し、チェルナボーダ原発はドナウ川から少し離れたところに立地し、ドナウ川の水が運河によって引き込まれていた。


ハンガリーは発電量の半分近くを原発に、ルーマニアは5分の1を原発に依存している。特に原発依存度の高いハンガリーには、深刻な事態になっている。


ただ6日に上流のオーストリアでまとまった雨が降って水量が上がり、状況は少し改善されたという。


その他海岸線に立地するフランスの原発では、海にくらげが多量に発生したことで、原発の停止を余儀なくされる可能性があるという報道もある。くらげによる原発の停止は夏になると、よくあることだ。


前回の記事でも書いたが、ドナウ川という大河川から取水しても、暑さに弱い原発の実態が露呈している。今後気候変動でますます温暖化する可能性が大きいにも関わらず、両国は原発の新設を計画している。特にルーマニアは、小型のSMR炉を計画している。


現実を把握していない、懲りていないといわなければならない。日本ではこの問題、あまり報道されていないようだが、それも大きな問題だ。


(2026年8月12日)
記事一覧へ
関連記事:
フランスとスイスでは猛暑で原発停止
原発で水を汚染させたくない
フランスの原発増設は負け戦
関連サイト:
パクシュ原発(MVM)の公式サイト(英語)
この記事をシェア、ブックマークする
このページのトップへ