スノーデンは政治的に追われている

 ドイツ政府は7月2日夕方、米国政府による個人情報監視活動を曝露して米国政府から追われているCIA元職員エドワード・スノーデン氏から出されていた亡命申請を受け入れられないと発表した。

 ぼくはその直後に、外務省の報道官と電話で話をすることができた。

 報道官によると、亡命申請は確かに出された、だが亡命申請を受け入れるだけの条件が整っていないので、申請を受け入れることができないのだという。

 フリードリヒ内務相が、ドイツに政治的関心がある場合にドイツでの滞在権を認めることができるとする滞在法第22条から、米国監視活動に関する証人としてスノーデン氏に滞在許可を出すことを検討するとしていたが、それはどうなったのかと、ぼくは聞いた。

 報道官は、内務省とともに検討したが、それについても条件が揃わないという。

 よく考えてみると、その「条件」というのは何だということになる。電話では、そこまで追求することができなかったので、ぼくは、翌日の政府定例記者会見にいくことにした。

 会見では、ドイツの記者たちがこの問題でいろいろ質問するが、回答は同じだった。亡命の申請、滞在権の付与、人道的な配慮などいろいろな観点から、スノーデン氏を受け入れるかどうか検討したが、条件が整わないのだという。

 このままでははっきりしないままに終わるので、ぼくは質問した。

 「ぼくには、その条件というのがよくわからない。スノーデン氏を受け入れるか、いれないかの問題は、スノーデン氏が政治的に追われているのか、どうかなのではないか。ドイツ政府が、ドイツの法治国家性から見てスノーデン氏が政治的に追われていないと判断しているのなら、その旨の政府の公式のステートメントがほしい」

といった。

 すると、会場がシーンとしてしまった。壇上に並ぶ報道官たちの顔に、困惑の色が読み取れた。

 少し経って、外務省の報道官が回答した。回答の主旨は、ドイツ政府は米国の法治国家制度を信頼しているので、スノーデン氏が米国で正当に取り扱われるものと信じている、というものだった。

 それならドイツ政府は、グアンタナモ、ドイツでは憲法上禁止されている死刑執行をドイツの法治国家性から見て、正当だというのだろうか。

 外務省報道官がこう回答したこと自体、スノーデン氏が政治的に追われている、と間接的に認めたことになる。

(2013年7月18日、まさお)

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