現代社会は根性論ではどうにもならない

 「アメリカ・ファースト」と同じように、ぼくが気なるのが「がんばれ日本」ということばです。がんばれば何でもできる、といわれているように思えてなりません。でもぼくは、そうは思いません。できないものは、がんばってもできません。これは、日本でいう根性論にすぎません。

 根性論は、長時間労働で自殺者の出ている問題にも関係しています。現在、情報通信技術の普及で仕事の内容ややり方が早いテンポで変わっています。仕事の効率を上げるために導入された情報通信技術。それによって人員削減され、一人一人の負担が益々増えています。パソコンによって、一人でできる仕事の範囲と量が大幅に増えました。仕事の密度がより濃くなっています。

 仕事の内容の変化は、管理職である上司にはわかりません。自分で体験していないからです。上司はその変化について何も考えず、自分が過去に上司から体験したように、部下に無理難題を押し付けます。部下は成績を上げるために、根性でがんばるしかありません。それが、長時間労働をもたらしている構図です。

 その根底にあるのは、日本企業の縦割り構造です。上司と部下の上下関係は絶対です。部下は、上司の指示を拒否できません。ぼくはここに、企業活動になくてはならなくなった情報通信技術との矛盾を感じます。

 情報通信技術の基本は、横のつながり、ネットワークにあります。横のつながりを強化するには、コミュニケーション(対話)しながら、多様な能力を持った人たちの間で役割を分担します。そうして、一つのものができあがります。

 でも日本企業の縦割り構造には、横のつながりがありません。横のつながりがない分、一人一人の負担が格段に増えます。工夫して横につなげれば解決できるものを、一人で抱えてこなさなければなりません。

 この状況下では、根性論でいくらがんばってもどこかに無理がきます。長時間働けば働くほど、効率も悪くなります。縦割り構造というこの日本経済の構造的な問題を解決しない限り、日本の長時間労働問題は労働時間を規制するだけでは解決されません。思考回路を働かさないで、根性論で規制の枠外で労働時間が増えるだけです。

 日本の縦割り構造は、経済ばかりでなく、政治、社会など日本の社会全体に見られます。情報通信技術が中心の現代社会において、縦割り構造は機能しません。技術革新では、連携がキーワードでした。

 エネルギー供給においても、再生可能エネルギーを普及させるには、発電拠点を小型化して分散させ、横にネットワーク化させます。そうしない限り、安定供給は不可能です。今後、益々横の連携が求められていきます。

 同じことが、日本の教育についてもいえます。日本の教育は暗記が中心で、知識を覚えさせるだけです。基本的にどう考えるのかは、教えません。何も考えずに先生(将来社会に出たら上司に相当)のいうことを聞くようにしつけます。それが、教育の基本になっています。これも知識の縦割りであり、縦割り社会で生きていくように学校教育で訓練されているにすぎません。

 でも、覚えただけの知識では応用が効きません。覚えた知識が古くなって時代遅れになると、知識は使いものになりません。技術にも同じことがいえます。

 知識や技術は、早いテンポで変わっていきます。根性で暗記で覚えても、その知識や技術が古くなると、もう使えません。そうなると、古い知識や技術しか持ってない人材も使いものになりません。人材は、使い捨てにされるだけです。

 それに対して、基本的な考え方を身につけておけば、新しい知見や技術が出てきても応用が効きます。そのために教育しないことには、時代の変化のテンポの早さについていけません。

 日本の最新技術は、世界から遅れてしまいました。その背景には、考えないで根性で覚えることだけを良しとする日本の教育の根本的な問題があると思います。

(2018年4月27日、まさお)