100年前に女性が参政権を獲得

 今から100年前の1月19日、ドイツでは国民議会選挙が行われました。この時、女性がドイツではじめて国政選挙で投票することができました。同時に、国会議員に立候補する被選挙権も得ました。

 女性参政権は、第一次大戦末期の1918年11月に起こったドイツ革命の過程で認められます。この時、帝政から議会民主主義を基盤とする共和政に換わったからでした。最初の国民議会選挙では、投票権のある女性の80%が選挙に参加しています。

 当時国会議員に選出された女性は、423人の国会議員中37人。その割合は、10%にも達していません。選挙から1カ月後、国民議会において女性がはじめて国会で演説します。

 ドイツでは、19世紀半ばから女性の参政権を求める運動が起こっており、70年かけて女性が参政権を得たことになります。

 ただ女性が社会において独立した地位を獲得するまでには、まだまだ時間がかかります。

 西ドイツでは1977年まで、結婚した女性は家事を行う義務があると法的に規定されていました。働きたい場合も、1958年までは夫の許可なくして働くことができませんでした。給料も、夫が管理しました。夫が妻の同意も得ないで、勝手に退職届けを出すこともできました。女性はこの時まで、夫の許可なく運転免許証も取得することができませんでした。

 女性は、子供を育てるために家庭に留まるもの。それが徹底されていたといえます。となると、女性が銀行口座を持っている必要もありません。1962年まで、女性は夫の許可なく銀行口座を開設することができませんでした。

 保守的でカトリック系の多いバイエルン州では、女性の先生は結婚と同時に退職しなければなりませんでした。カトリック教の牧師ではあるまいしと思いますが、教師は”聖職”だとはよくいったものです。

 東ドイツでは、1950年に男女平等が法的に規定されています。ただ実際の生活では、当時すでに男女平等が実現されていたとは到底思えません。

 今のドイツ社会からすると、当時はとんでもない社会だったように見えます。でもそれは、今だから簡単にいえるのだと思います。

 女性たちが長い間地道に戦いながら、勝ち取ってきた権利であり、地位です。それでも、現在はまだ男女が平等だとはいえません。でも、女性たちがここまでドイツ社会を変えてきたのは間違いありません。頭が下がります。

 でも、まだこれで十分なわけではありません。男女はまだまだ、平等にならなければなりません。

(2019年1月18日、まさお)

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