地方議員は名誉職
日本では知事選を皮切りに、統一地方選挙がはじまりました。これから次々と、地方の首長選や議員選が行われます。ただ、地方の首長や議員にはいろいろとキナ臭い話も聞かれます。
お金にかかわるごたごた、不祥事に関するニュースが途絶えません。議員報酬以外に、よくわけのわからない「政務活動費」という「報酬」があるとも報道されています。
調べてみたところ、日本での市議会議員の最高報酬は横浜市議会議員で、月額約95万円もらえるそうです。
それに対して、ドイツではどうなっているでしょうか。
ぼくの友人は、ベルリンを囲むように立地しているブランデンブルク州の州都ポツダムの市議会議員をしています。その友人によると、市議会議員としての月額報酬は500ユーロ余り。日本円にして6万円程度にしかならないそうです。
友人いわく、それはほとんど、議員として活動することによって発生する実費を清算するだけということです。市議会レベルでは議員は名誉職で、他に仕事を持っていない限りやっていけないといっています。友人は長期失業者で、生活保護を受けながら議員活動をしています。
ぼくの知っている他のポツダム市議会議員では、一人は弁護士をしながら議員活動し、もう一人の女性議員は建築家事務所を共同経営しています。
そのため、議会は夕方から開かれます。その前に各党で議員団の会合が開かれることもあるので、議会は通常、夜開催されます。
州都の市議会議員でさえそうなので、ドイツでは小さな村の首長までが名誉職となっています。役場もなく、村長の自宅が役場を兼用している場合も見たことがあります。
議員として議員報酬だけでやっていくには、州議会議員と連邦議会議員にならないと、十分な報酬はもらえません。ドイツは州の連邦国家で、州は国家と理解します。ドイツの場合、国という枠組み以外の自治体では、地方議員や首長の多くが名誉職だということです。
それでは、日本で一体誰が議員になるのか、誰もなり手がいないよ、といわれそうです。でもぼくにいわせれば、それでも議員になりたいと熱い思いのある人がいるからこそ、まともな政治ができるのです。そういう人材を発掘、育成していくことがたいへん大切だと思います。
ただ、名誉職は日本にもあるのです。
日本には、町内会というのがあります。町内会長と役員も名誉職です。町内会には政治権限がありませんが、そこに住民自治の原型を見出すことができます。それがもう少し政治権限を持てるようになれば、地方政治が名誉職による住民自治という形に生まれ変われる可能性があります。
ぼくは、小さな自治体という枠組みにおいては、住民自治による政治が中心になるほうがいいと思います。
同時に、それによって地方財政を軽減できます。
大阪都構想問題で大阪府と大阪市では、「クロス選挙」になっています。都構想の目的は、財政削減だということです。それなら行政改革する前に、市議会議員を名誉職に切り替えるなど大胆な議員報酬改革するほうが先ではないかと思いますが、どうですか。
(2019年3月22日、まさお)