FIT電力にも、原発のための引当金を上乗せ

 本サイトでバックエンド引当金の問題を取り上げてきました。引当金は電力料金に上乗せされて徴収されており、ここでも関係あることなので、同ブログでも取り上げておきたいと思います。

 第1章で書いたように、ドイツではFIT電力は通常の電力として扱われています。つまり、火力発電、原子力発電された電力と区別されません。そのため、FIT電力にも原発の廃炉や最終処分のために積み立てておく引当金分が上乗せされている可能性があります。

 FIT電力を通常電力扱いすることでFIT制度による負担を全体に分配しているわけなので、原子力の負担も全体でという論理になりますかね。

 もちろんFIT電力に特化した発電事業者は引当金を上乗せする必要はなく、原子力発電する事業者だけが上乗せします。送電段階では、電力の区別はできなく、販売する電力にはすべてFIT電力が入っているとされる以上、送電会社から小売り業者に引き渡される段階では、FIT電力にも引当金が入ってしまっている可能性がかなり大きいと思います。

 特に原子力発電している大手電力は、当然のことながらFIT電力にも引当金を上乗せしていると思います。

 現在、電力商品に含まれているFIT電力の割合は平均で30%余りです。ぼくはグリーン電力を供給してもらっていますが、残りの70%弱はドイツでFIT外で発電されたグリーン電力か輸入グリーン電力(輸入グリーンは他国のFIT電力でもいい)です。グリーン電力だけを供給している会社であれば、引当金を準備しておく必要はないので、引当金は徴収されていないと思います。でも原子力電力も供給している会社であれば、その会社がグリーン電力商品を持っておれば、グリーン電力商品であっても確実に引当金が上乗せされていると思います。それは、経営モラル上問題あるかもしれませんが、会社経営上だけの問題で、企業側の裁量に任されているはずです。

 さらに問題になるのが、この引当金を集めるのをいつまで続け、電気料金のどの程度の割合を占めるのかという問題です。これは、多分電力各社の経営裁量に任されていると思います。そこまでは、法的規制されていないと見ています。

 ドイツでは電力市場の自由化で、発電、送電、小売りが別会社化されています。それで、送電される電力には託送料が加算されます。

 ドイツでは第2章で書いたように、自由化後に託送料でいろいろ問題がありました。規制機関ができてからはその問題が解消されてきましたが、電力料金に占める託送料の割合が益々大きくなっています。その公平さは規制機関がチェックしているはずなので、ドイツでは何でも上乗せしてしまう日本のようにはなっていないと信じたます。ドイツの託送料の高騰は、送電会社の送電網整備に負担が増えているからだと思います。引当金は、託送料の中には含まれていないと思います。

 ただ電力市場はとても複雑なので、外から見ると、実際どうなっているのかはまったく霧に包まれた状態でわからないのも事実です。

 だからこそ、原子力とない関わりのないグリーン電力を市場で販売するには、ドイツのようにグリーン電力商品を認証する仕組みが大切だともいえます。

2017年12月03日、まさお

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