再生可能エネルギーに対する嘘
⎡エネルギー選択宣言⎦の第1章で、ぼくは再生可能エネルギーの発電コストが安いことをくどいくらいに説明しました。燃料費はいらないし、メンテナンスもほとんど必要ない。発電設備も小さいので、設備コストは安いし、減価償却期間も短い。
発電コストが安いのは、当然の話です。
でも、往々にして再生可能エネルギーは高いといわれます。そこでは、忘れられていることがいろいろあります。
ひとつ重要なことは、燃料が必要ないので、再生可能エネルギー(特に風力発電と太陽光発電)では、発電量が多くなろうが、少なくなろうが全体の発電コストは変わらないということです。燃料がいらないからです。
それに対して、火力発電や原子力発電などの従来の発電方法では、発電コストは発電量が多くなればなるほど全体のコストが上がります。それは、それだけ燃料が必要になるからです。
でも、いくら発電しても全体の発電コストが増えないなら、使うだけ使えるように、需要を増やしたほうがいいのではないですか。その方がずーと得なのは、誰にでもわかると思います。
それでは、なぜ再生可能エネルギーは高いといわれるのでしょうか。
それは、再生可能エネルギーで発電できる設備を整備するまでに、お金と時間がかかるからです。それを整備するための施策として、固定価格買い取り制度があります。その制度によって電気を割高に買うことで発電設備を増やしているので、再生可能エネルギーが高くなっているにすぎません。
それは、再生可能エネルギーがまだ発展段階にあるからです。
そういう発展段階は、火力発電の時も、原子力発電の時もありました。でも、発展段階にある技術と、定着段階に入ってしまっている技術で、今どっちが高いと比較しては、フェアではありません。発展段階に、お金がかかるのは当然です。
今もし、再生可能エネルギーで発電する設備が成長して、火力発電と原子力発電で発電できる容量と同じくらいあるとしましょう。そこで、再生可能エネルギーと比べると、火力発電と原子力発電は発電コストが高すぎて、再生可能エネルギーには太刀打ちできません。
ドイツでは、すでに再生可能エネルギーによる発電量が発電量全体の30%を超え、風力発電の発電コストは、火力や原子力にも負けないようになってきました。
そうなって困るのは、火力発電と原子力発電で既存権益を得ている電力業界です。
だから、電力業界はその既得権益を守るために、再生可能エネルギーを増やさないように妨害するのです。
これが、再生可能エネルギーは高いといわれる嘘のカラクリでもあります。
それに対抗するには、どうするのか。
答えはひとつです。再生可能エネルギーを使って、需要をどんどん増やすことです。
そのためには、市民が再生可能エネルギーで発電された電気を使いたいと声を上げ、再生可能エネルギーで発電された電気を供給してもらう契約を結んでいくしかありません。
そうすれば、近い将来、電気がとても安いものになります。
2018年6月23日、まさお
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