レアメタルやレアアースによる再エネ攻撃に騙されるな

 最近、ぼくの加入しているMLに、レアメタルやレアアースを使う風力発電を攻撃する記事のリンクが回ってきました。従来通りの発電方法を支援する米国のエネルギー•シンクタンクが拡散しているものでした。

 レアメタルやレアアースを採取する中国において、それによって排出される放射性廃棄物の管理がずさんなので、被害が出ているという内容です。直接風力発電を批判しているわけではありませんが、放射性廃棄物を排出する物質を使う風力発電はいかんといっているのは明らかです。

 リンクの送り主は、この情報は正しいのかと聞いています。

 情報は、間違っていません。風力発電では確かに、レアメタル、レアアースが使われています。その採取によって放射性廃棄物が排出されるのも事実です。

 それなら、風力発電は原子力発電と同じように、止めたほうがいいのでしょうか。

 記事では、記事に書いていないことが問題です。それは、レアメタルやレアアースが他にどういうものに使われているかということです。

 レアメタルやレアアースは、たとえば太陽光発電にも使われます。ハイブリッド車や電気自動車にとっても、とても大切な材料です。省エネランプであるLEDランプにも必要です。これら環境エネルギー技術に欠かせないということです。

 また発電機にも必要なので、発電のすべての分野に使われています。原発では、制御棒に使われ、原発の安全を確保する上でも欠かせません。

 日常生活においても、たとえば液晶テレビやタブレットコンピュータ、スマートフォンなどにもなくてはならないものです。

 こうして見ると、現在使っている技術のほとんどに使われていることがわかります。

 ただ問題の記事は風力発電にしか触れず、「放射性廃棄物=悪い」という単純思考から、風力発電はいかんという方向に導こうとしています。

 ここで問題にされている放射性核種が天然放射性核種であることも、はっきり書かれていません。天然放射性核種は地球上に多種あり、これは太陽系が誕生したプロセスを考えると、地球上にあって当然なものなのです。そして、これら放射性核種の半減期はたいへん長いので、崩壊して安定することがありません。つまり、とても長い時間にわたって、放射性物質であり続けるということです。

 原発事故によって発生する核分裂生成物としての放射性物質と違い、天然放射性核種ではぼくたちの被曝量が少ないことも知ってほしいと思います。

 被曝の問題ばかりでなく、レアメタルやレアアースが中国から輸入される割合がとても高く、中国だけに頼っているのはいいことではありません。そのため、材料のリサイクルのほか、代替素材や代替技術の開発も活発に行われています。

 確かに放射性廃棄物が排出され、しっかり管理されていないのは問題です。だからといって、それだけでレアメタルやレアアースを使っているのはすべていかんというわけにはいきません。それでは、現在ぼくたちの恩恵を受けている技術が成り立ちません。

 これは、「放射性廃棄物=悪い」という単純思考で済む問題ではありません。その点をはっきりわきまえて議論しなければなりません。そのことを知ってもらい、自分自身では何かできるかも考えることが必要だと思います。

 ぼくは、フェアフォーンというスマートフォンを使っています。これは、フェアトレード基準に従って製造されたスマートフォンです。ぼくはそれによって、末端労働者が過酷な条件で酷使されていないことを願っています。

2018年10月07日、まさお

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