電気自動車へ移行させるのはいいけれど

 ドイツの自動車メーカー最大手のフォルクスヴァーゲン社は、自動車を電気自動車に切り替えるため、2023年までに300億ユーロ(約4兆円に相当)投資すると発表しました。2025年までに電気自動車を、現在の6車種から50車種以上にする計画です。

 その他、無人自動車や自動車のデジタル化などに140億ユーロ(2兆円弱に相当)投資するとしています。

 電気自動車化に向け、大胆なリストラを行うことになります。電気自動車の製造では部品数が激減するだけに、従業員が大幅に解雇されるのがたいへん気になります。しかし、同社は解雇するのではなく、新規採用を抑えて定年退職者が退社していくことで人員削減するとしています。

 まあ、ようやくかという気がしないでもありません。

 ドイツ政府が電気自動車化を国家戦略としていることがわかっていても、なかなか電気自動車化に乗り出せなかったドイツの自動車業界です。そのため、電気自動車の開発が遅れ、それに必要な蓄電池の製造工場さえドイツにはありません。

 そのため、蓄電池の製造では韓国や中国のメーカーと提携せざるを得なくなっています。フォルクスヴァーゲン社にとって、中国はたいへん重要な市場。中国ではこれまで通り、現地生産化を目指すとしています。

 日本のメーカーが挙がってこないのは、日本が遅れているからです。

 でもね、電気自動車化をいうだけでは意味がないんですよ。

 第8章⎡交通の未来⎦の⎡自動車メーカーが沈黙しているのは不思議⎦でいっているように、電気自動車は再生可能エネルギーで発電されたグリーン電力を使わないと意味がありません。

 ドイツでは、発電における再生可能エネルギーの割合が40%近くになったとはいえ、交通に電力を供給するには再生可能エネルギー化がもっと進まなければなりません。このままでは、火力発電や原子力発電された電力で電気自動車を走させることになりかねません。

 その意味で、フォルクスヴァーゲン社には電気自動車は再生可能エネルギーで走るものというしっかりした哲学を持ってほしかったのですがね。それが、再生可能エネルギーを促進させるインパクトにもなります。でも、それがありません。

 それが、将来に対する企業責任だと思うのですけどね。

2018年11月18日、まさお

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