再エネと安全保障
中東のホルムズ海峡で、タンカーが攻撃されています。現在、誰が攻撃したのかで米国とイランが争い、一発触発のとても危険な状態になっています。
ホルムズ海峡は、世界の原油輸送の要。それだけに、同海峡を航行する商船をどう守っていくのか、重要な課題です。それ如何で、世界の原油供給がたいへん大きな打撃を受けるほか、戦争など武力行使のきっかけにもなりかねません。
ドイツは、ロシアから天然ガスを輸入しています。その輸入枠をさらに拡大するため、現在バルト海で海底パイプラインが建設されています。
それに対して、米国が猛烈に反対しています。米国は、ガス供給においてロシア依存が高まるのは、安全保障上問題だからだとしています。
でも米国は同時に、ドイツからの自動車の輸入関税を大幅に引き上げると脅しながら、ロシアからの天然ガスの代わりに米国から液化ガスを輸入するよう、ドイツに大きな圧力をかけています。
じゃ、ロシアからの天然ガス輸入に反対する本音はどっちなんだ、といいたくなります。
エネルギー供給を他国に依存すると、政治的にも、経済的にも大きな影響を受ける危険があります。
現在、エネルギーなしにはほとんどすべてのものが機能しません。社会機能を安定させるには、エネルギー供給をできるだけ外因に影響されないようにしなければなりません。
ぼくはすでにエネルギー選択宣言において、エネルギー供給を再生可能エネルギー化することによって、世界の情勢から左右されずに、安定してエネルギーを供給できるようになる、そしてそれが、安全保障にもつながるのだと書きました。
それは、再生可能エネルギーが国内でのエネルギーの自給自足を可能にするからです。中東など遠方から原油を輸送してくる必要がありません。
エネルギーを国内で自給自足できれば、エネルギー供給の安定度が高まります。ここで安定とは、供給量ばかりでなく、供給価格も安定するということです。
各国がそれぞれ独自に再生可能エネルギーによってエネルギーを自給自足できれば、原油や石炭などを巡って争うこともありません。
このように、再生可能エネルギーには安全保障上とても重要な利点があることも、知ってもらいたいと思います。
なお、石油や石炭などの化石燃料が一体誰のものなのかという点でも、いろいろと議論できます。ただこの問題は、いずれどこかで取り上げることにします。
(2019年6月23日、まさお)
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