官僚の沈黙

 ベルリン@対話工房のサイトでは、これまで再生可能エネルギーへの転換、脱原発、脱石炭、脱蒸気機関、脱内燃機関についていろいろ書いてきました。

 これは、ぼく程度の頭でも気づくことばかりです。

 実は、それが問題なのです。

 日本の官僚は、ぼくより相当の頭を持っているはずです。その官僚たちには、ぼくが主張している程度のことは当然わかっていると思います。

 日本の官僚機構のリサーチ力には、かなりのものがあります。ぼくがドイツの状況について書いている程度のことについては、日本の官僚はそれ以上の詳しい情報を持っています。

 日本でも再エネを拡大して、ダイナミックに構造改革をしなければならないのは百も承知しているはずです。

 その必要性を、公然ということができない。そして、実現できない。それが重大な問題だと思います。世界がどういう方向に行こうとしているのかを知りながら、日本をその方向に操縦できません。

 日本が世界から取り残されても仕方ありません。

 これは、日本の将来に関わる問題です。日本流にいえば、国益を左右します。でも官僚は、将来の国益を無視し、既存の既得権益構造に固執します。

 環境省の官僚の中には、公式にはいえなくても、エネルギー転換の重大性について発言している人たちもいます。しかし経産省の官僚になると、一様に口をつぐみます。

 ぼくの知る限り、経産省のほうが環境省よりもより多くの情報を持っています。経産省の官僚が、このサイトでいっているようなことを知らないはずがありません。日本ではむしろ、再エネの拡大にブレーキをかける手法をドイツからうまく学んでいると思えてなりません。

 なぜ、日本は将来の国益に反することをするのでしょうか。

 それは、既得権益を分配する構造が頑強に固まってしまっているからです。官僚は、それを変えようとしません。これまでのことを踏襲するのが官僚の仕事になっています。何か変えようとすると、圧力がかかります。それに抵抗しても潰されるのがわかっています。だからしません。

 それが、官僚の賢いところなのかもしれません。

 地方にいけば、電力が最大雇用主です。その電力構造を変えるには、雇用を新たに創出する産業が必要です。でも日本では、地方に産業を分配してきませんでした。

 地方にあるのは、電力と建設だけ。それが一体になって地方経済を支えています。

 それを変えたら、たいへんなことになる。その心配が先立ちます。

 でも、このまま既存構造を維持しても、日本は取り残されるだけ。日本の技術革新力ももう錆び付いて、世界から遅れてしまっています。

 このままでは、産業革命の発祥国イギリスが衰退した過去と同じ道をたどるのだろうなと思えてなりません。

 それでいいのですね。

2020年1月26日、まさお

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