オーガニック衣料品から見える世界、変わる生活

 オーガニック衣料品を使いはじめて、20年くらい経つと思います。下着や衣服のすべてをオーガニックにして、完璧なオーガニック生活しているわけではありません。

 ぼくが使っているオーガニック製品は、下着やTシャツ、ポロシャツ、トレーナー、トレーニングウエア、ジーンズ、ハーフコート、コート、襟巻きなど。ジーンズは脱色されていません。ポケットと裏地には、シャツを縫製した後に残った端切れが使ってあります。

 脱色してないとは、有害な薬品を使って途上国の人たちが健康を犠牲にしてまで脱色してないということです。脱色に使うたくさんの水も節約されています。

 素材は、オーガニックコットンや麻、絹、大麻、さらにウールもあります。すべてが自然のもの。染色は、油性の化学染料ではなく、植物性の自然染料が使われています。大麻というと、マリファナを思い浮かべる人も多いと思います。でも大麻は、日本では古くから貴重な繊維材として使われていたことを忘れてはなりません。

 たとえばオーガニックコットンとは、簡単にいうと、綿が農薬や化学肥料を使わないで、自然に栽培されたもの。遺伝子組換えもされていません。

 日本のオーガニックコットンの先駆者渡邊智恵子さんによると、普通のオーガニックでない普通のTシャツ1枚をつくるのに、約2700リットルの水が使われます。1日に2リットル水を飲むとしても、毎日4年近く飲む水の量に相当します。Tシャツ1枚に、これほどたくさんの水が使われていると思うと、ぞーとします。

 農薬は、雑草を駆除するために除草剤として使います。その農薬によって、綿も枯れてしまっては意味がありません。そうならないように、遺伝子組換え技術によって綿を品種改良して、農薬に強い綿をつくります。

 その結果、綿を栽培する農家は、毎年綿を栽培するために、毎年種を買わなくてはならなくなります。種ができないからです。農薬にはじまって、品種改良と種の販売を組み合わせる。うまい具合にビジネスチェーンが出きあがりました。それが、たとえば米国バイオ化学メーカーのモンサント(現在、ドイツの化学大手バイエルに買収され、モンサントの名前は消滅)が莫大な利益を上げながら、自然を破壊し、人の健康に影響を与えてきた背景です。

 オーガニック衣料品はさらに、バングラデッシュなどで低賃金で、過酷な労働条件の下で縫製されたものではありません。その点で、フェアトレードです。

 これまでの通常の衣料品の生産とそれに伴う環境破壊に抵抗し、環境と人にやさしい衣料品つくりをする。それが、オーガニック衣料品といってもいいと思います。

 でも、オーガニック衣料品は高いです。デザインもかなり改善されてきたとはいうものの、シンプルで、モダンというよりは、ダサイものも多いと感じます。

 でもぼくから見れば、それが逆にオーガニック衣料品のいいところだと思います。

 高いと、大事に長く使おうとします。デザインはモダンではなく、オーソドックスなので、いつでも着れます。長い間着ていても、時代遅れを感じさせません。

 オーガニック製品は布地が厚く、しっかりしているので長持ちします。

ドイツでは、街のあちこちに古着と古靴を回収してリユースするためのコンテナがある。回収されたものは、福祉目的に使われたり、セカンドハンドとして売られることもある。

 ぼくの使っているオーガニックポロシャツやトレーナーは、ほとんど10年以上着ています。外出する時に着る物と、自宅だけで着る物を分け、外出する時に着る物を着古し、摺り切れが目立つようになれば、自宅だけで着るようにします。そうして、さらに長く使えるように循環させます。

 オーガニック衣料品を使うようになってから、デーパートなどで衣料品を買うことがなくなりました。いや衣料品のショッピングにいくこと自体が、ほとんどなくなったといっていいと思います。オーガニック衣料品は長く使うので、ショッピングにいく必要がないからです。

 こうして長く使えば、買う時には高くても、長い目で見れば全体としては安くなります。

 自宅で着るのも恥ずかしいくらいに古くなったら、今度は靴を磨く時に使ったり、窓拭き用などに使います。これは、コットンだからできることです。

 こうして、これまでかというくらいに最後の最後まで使い切ります。最後に捨てる時は、資源ごみのゴミコンテナに入れれば、古くなった布地は、破砕されて紙やその他建材などの材料としてリサイクルされる可能性が生まれます。

 こうして衣料品を大切にして循環させて使います。それができるのがオーガニック衣料品のいいところです。

 ぼくは、オーガニック衣料品とともに、物を大切に長く使うこと、それとともに環境を大切することを学びました。

2021年4月11日、まさお

関連記事:
持続可能な製品を求める/エネルギー選択宣言

関連サイト:
ドイツでオーガニック衣料品ブランドhessnaturのサイト(ドイツ語、例)
日本のオーガニックコットンの先駆者渡邊智恵子さんのサイト

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