気候変動で安全が脅かされる
ぼくはベルリン@対話工房のサイトにおいて、エネルギーは安全保障に係わる重大な問題だと書いてきました。エネルギーの安定供給を目的に、燃料などエネルギー源を確実に手にれるには、エネルギー源を巡って国際的な争いに巻き込まれないようにすることが必要です。そのために、輸出に依存せず、国内でエネルギーの地産地消を進めます。それが、再生可能エネルギーに転換する一つの重大な根拠です。
過去に起こった世界大戦では、石油や石炭などのエネルギー源を巡って戦争が起こりました。エネルギーの争奪戦にならないようにする。それが、過去から学んだ教訓でした。エネルギーは、世界の安全保障と深く係わっています。
現在、地球温暖化による気候変動が大きな問題になっています。ただ気候変動は主に、環境問題だと捉えられがちです。でも実際には、気候変動も安全保障に係わるとても重大な問題です。
すでに、その兆候が現れています。温暖化によって、異常気象が頻繁に起こるようになりました。洪水や干ばつによって、たくさんの被害が出ています。ここ数年来山火事がよく起こるようになったのは、雨が降らないで乾燥しているからです。それも、気候変動に起因しています。
その結果、ぼくたち人間の安全が保障されなくなっています。
アフリカなどでは、干ばつによって農作物の収穫に大きな被害が出ています。その結果、食糧不足が深刻になっています。それは、人間の命に係わる重大な問題です。
気候変動がさらに激しくなれば、食糧問題がより深刻になることが予想されます。そうなると、農作物を輸入している国は、食糧を十分に獲得できなくなります。食糧の争奪が激しくなって、国家間の関係が険悪になることが心配されます。
温暖化で海の水位が上がると、海岸沿いの生活圏が浸水します。そこではもう、生活できません。となると、たくさんの人が移住しなければなりません。それが、社会問題になる危険があります。そればかりか、海岸沿いに設置された工業プラントから有害物質が排出され、環境や健康に影響がでる危険もあります。
温暖化はさらに、領土問題も引き起こします。温暖化で北極の氷が溶けると、これまで氷のおかげて手の届かなかった資源が手に入るようになります。それとともに資源争いが起こり、領土問題へと発展します。北極周辺で国家間の関係が危なくなります。
こうした国家間の争いに巻き込まれないようにするには、再エネを基盤にしてエネルギーの地産地消を徹底させることが必要になります。食糧においても、有機農業などによってできるだけ国内で農作物の地産地消を進めます。
そうすれば、国際的な争いに巻き込まれません。
気候変動は、環境の問題だけに止まりません。国内ばかりでなく、国際的にも、ぼくたち人間の安全保障に係わる重大な問題に発展します。それによって、戦争など危機的な状況を引き起こす危険があることがわかります。
この現実も、しっかりと肝に銘じておきたいと思います。
2021年5月23日、まさお
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関連サイト:
人間の安全保障/国連広報センター
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