地球温暖化とその危機管理

 地球の温暖化が気候変動を起こしているとみられます。産業革命後に人類が化石燃料を利用し出したことで、地球の温暖化が加速しました。その結果、地球温暖化は人的に引き起こされたものだとされます。

 それに対し、地球の温暖化はこれまでも起こっており、自然の循環プロセスにおいて起こるものだとする説があります。温暖化懐疑論や温暖化否定説などといわれます。

 でも、温暖化説か温暖化否定説かで議論するのは、それほど実りのあるものでしょうか。ぼくはそうは思いません。温暖化の原因についてとやかく議論するよりは、温暖化にどう対応するかのほうが大切だと思います。それは、温暖化の問題が危機管理の問題だと思うからです。

 地球温暖化によって気候変動が起こっているので、2050年までに温暖化を引き起こすとされる二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルを実現しようとする国が増えてきました。

ベルリンで行われた気候保護デモでは、自然循環型トイレともいわれ、環境にやさしいバイオトイレが設置されていた

 それは、一つの温暖化対策に対する危機管理だと捉えるべきです。

 温暖化は人類が引き起こしたものであろうが、自然のプロセスであろうが、現実に温暖化が起こっています。それとともに、気候が変動します。それに対してどうするかが、温暖化対策です。

 温暖化の原因が何であろうが、温暖化対策を講じておけば、後で困ることはありません。温暖化が自然の一つのプロセスで、人的に起こったものではなくても、温暖化対策が講じてあれば、温暖化説が間違っていたとしてもまったく困りません。「ああ、そうでしたか。ごめんなさい」でも、済みます。

 それに対して困るのは、温暖化を否定して何も対策を講じていなかった時です。

 温暖化否定説が間違っていたことがわかった時に、手遅れになるからです。「温暖化否定説が間違ってました。すいません」だけでは、済みません。その時には何もしてこなかったので、もう温暖化に対抗する手段がありません。もう手の施しようがなく、取り返しがつきません。そうした事態になることを避けるのが、危機管理です。

 こうして見ると、温暖化問題では温暖化が人的なものであろうがなかろうが、危機管理上から考えると、温暖化対策を講じておくほうが問題がないことがわかります。

 その意味で、温暖化を否定して何もしなくていいと主張するのは、危機管理の面からすると、まったく無責任だということになります。温暖化を否定しても、危機管理上、温暖化対策は絶対に必要です。

 この点を見逃してはなりません。

2021年5月16日、まさお

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