2022年9月07日掲載 − HOME − 再エネいろは一覧 − 記事
再エネは気候変動に強いか?
再生可能エネルギーQ&A

今ヨーロッパで起こっていることを見ると、再生可能エネルギーは気候変動に強いといわなければなりません。


現在ヨーロッパでは、どういうことが起こっているのでしょうか。


暑い日が続き、雨が降りません。その結果、各地で干ばつになっています。川の水量が減り、水の温度も上がっています。


その影響を一番受けているのが、原子力発電ではないでしょうか。原発依存度の高いフランスでは、原発の約半分が動いていません。ヨーロッパでは、原発が川の水を冷却水として使っています。しかし今、川の水が少なくなっている上に、水温が上がり、原発に必要な冷却水がありません。それで、原発を止めなければならない状況になっているのです。


原発と同じ問題は、冷却水を必要とする石炭型火力発電にもいえます。ただ火力発電では、発電によって発生する熱量が原発に比べると少ないので、冷却水問題はそれほど深刻にはなっていません。


むしろ渇水で、河川の水位が下り、内陸河川交通が十分に機能していないほうが深刻です。ヨーロッパでは火力発電に必要な石炭の輸送において、河川交通が重要な役割を果たしているからです。


でも今、河川の水位が低いので、石炭を十分に搭載して輸送することができません。船一隻に輸送できる量は陸上交通とは比較できないほど多く、河川交通で輸送できない分をトラックや鉄道などの陸上交通では、カバーできません。


水力発電も渇水で、十分に発電できない状態が続いています。特に再エネに属する小型水力発電施設では、小川が干ばつで渇水していて発電できません。


こうして比較して見ると、再エネによる発電、特に風力発電と太陽光発電が気候変動の影響を最も受けていないことがわかります。


再エネにおいても、気候変動に伴う強風やゲリラ豪雨のような異常気象による影響で、再エネ発電施設が被害を受けることもあります。強風で、風力発電用の風車が壊れる心配があります。強風時には、風車を停止しなければならない場合もあります。


ただそれは、発電施設毎に単発で起きる影響です。発電方法全体には、大きな影響をもたらしません。


気候変動が進むにつれ、従来の発電方法では気候変動に対して技術的に対処できない弱さがあることがはっきりしてきました。気候変動とともに、気候変動の影響のより少ない発電方法に移行することを考えなければなりません。


再エネの促進は電力を安定供給する上で、気候変動による影響をより少なくする効果もあることがわかります。


(2022年9月07日)

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関連サイト:
Investment needs for future adaptation measures in EU nuclear power plants and other electricity generation technologies due to effects of climate change, Final report 2011(欧州委員会、英語)
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