自家発電、自家消費のすすめ
ぼくは、太陽光発電は屋根にソーラーパネルを設置して行うのが一番だと思っています。平地などで、出力の大きなメガソーラーを設置するのは適切ではないと思います。そのために森林や山の斜面などを切り開いて整地し、環境を破壊してまで発電するのは、再生可能エネルギーではないからです。
ドイツでは10数年前に再生可能エネルギー法によって、メガソーラーで発電された電気の買取価格を結構引き上げたことがあります。それによって、一時メガソーラーがブームになりました。
ただそれによって、電気料金がかなり高くなりました。一旦ブームになると、その分の発電量が増えるので、再生可能エネルギーで発電される電気を固定価格で買い取る固定価格買取制度(FIT)による負担が増えます。その負担は消費者全体に分配して電気料金で負担するので、電気料金が高騰します。
ドイツでは現在、出力750kWを超えるメガソーラーは入札方式で電気の買取価格が確定します。その結果、メガソーラーで発電される電気の買取価格は下がってきました。ただその分、資金力のない市民がメガソーラーに投資しにくくなり、メガソーラーでは企業がますます有利になっています。
メガソーラーに関しては、ぼくは最低以下の二つの条件を満たしてほしいと思います。
◦空き地をそのまま利用し、森林や山を切り開いて設置場所をつくらない
◦市民共同で出資して設置するなど、市民ベースの団体が設置するのを優先するか、それ以外の設置を認めない
次に太陽光発電で大きな可能性をもたらしてくれるのが、工場や倉庫、公共施設、オフィス、集合住宅などです。屋根が大きいので、ソーラーパネルを設置する場所がたくさんあります。ドイツではここ数年来、この種の太陽光発電がブームになってきました。
この種のソーラーパネルでも、市民が共同で出資して運用できます。工場や倉庫、公共施設は市民団体に屋根を貸せば、賃貸収入を得ることができます。集合住宅では、住民が共同で発電して電気を住民たちで消費できます。企業自身も、自社工場やオフィスで自家発電、自家消費できます。
ところが昨日の記事でも書いたように、この種のソーラーパネルで発電される電気の買取価格が2019年からかなり引き下げられることになりました(2018年12月1日の記事「FIT制度をさらに改正」)。この改正は、太陽光発電を普及させる上では大きなマイナスだと思います。本来、この種の太陽光発電をもっと支援していかなければならないはずです。
すでに述べたように、再生可能エネルギーで発電される電気の買取制度による負担が大きくなると、電気料金が上がります。それを防ぐためには、買取価格を引き下げるしかありません。そのために、今回の改正が行われました。
陸上風力発電では、設置できる陸地には限界があります。再生可能エネルギーがある程度増えてくると、その割合をさらに増やしていく場所は、陸上では屋根しかなくなります。屋根はたくさんあるのだから、屋根にできるだけ多くのソーラーパネルを設置するしかありません。
ソーラーパネルで発電される電気の買取価格を引き下げるのは、中国産のソーラーパネルの普及で、ソーラーパネルがとても安くなったからでもあります。それに伴い、電気の買取価格が高すぎると判断されたのだと思います。買取価格が高すぎると、バブルになる危険もあります。
中国は国家戦略としてソーラーパネルを販売しているので、ドイツでもめっぽう安く買えます。これは、中国の公的補助といってもいいと思います。それなら中国の公的補助を使って、どんどん屋根にソーラーパネルを設置していけばいいのです。ドイツ国内のパネルメーカーを中国産から守るといっても、国内製造による雇用はたかが知れています。それなら、中国からの公的補助の恩恵に預かって、安いソーラーパネルをどんどん設置したほうが得策だと思います。
また、小型蓄電池もかなり値崩れして安くなりました。ソーラーパネルを設置するには、蓄電池とセットで設置すべきだと思います。それによって自家発電、自家消費ができるようになり、余った電気は売ることができます。そうすれば、新しい収入源も生まれます。
自家発電、自家消費するようになれば、法的に規制される電気の買取価格の影響も小さくなります。
2018年12月02日、まさお
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