ドイツは2045年までに、二酸化炭素の排出実質ゼロとなるカーボンニュートラルを実現する。そのためにはまだ、たくさんの施策を実現しなければならない。まずドイツ政府が計画する主な施策は昨年2022年春に、「ドイツ経済相、気候保護政策はこれまでの3倍の速度で」の記事としてまとめてある。
ドイツの総発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合は現在、まだ半分弱にすぎない(「ドイツの年間電源構成、再エネが電力消費のほぼ半分」)。ドイツはそれを、2030年までに80%に引き上げることを法的に規定した(2023年再生可能エネルギー法)。
そのためには、再エネの割合をほぼ倍増させなければならないことになる。
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ドイツ南西部のライン・フンスリュック郡には、陸上風力発電施設がたくさん並んでいる |
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そこで重要になる発電方法の一つは、風力発電だ。特にドイツでは今、陸上風力発電の伸びが停滞し、それが再エネの割合が伸びない要因にもなっている。その問題を解消しない限り、ドイツ政府の2030年までに発電において再エネの割合を80%に引き上げるという目標は達成できない。
そのためドイツ政府は、各州毎に2032年までに国土の2%を風力発電に利用することを法的に規定した。中間段階である2027年までに各州で、その割合が1.4%に達していなければならない。
そのため、陸上風力法(陸上風力発電を拡充・加速させるための法律)が制定され、昨年2022年7月末に交付、今年2023年2月に施行した。
同時に、陸上風力発電施設の設置許認可手続きを加速するため、連邦自然保護法を改正して、陸上風力発電を国の最重要施策であることを法的に規定するほか、各州毎に異なる環境保護法規をドイツ全体で統一した。
それとともに、陸上風力発電と自然保護を両立させる。同法の改正法はすでに、昨年2022年7月末に施行した。
これらの施策により、実際に陸上風力発電の拡充が加速するのかどうかは、今後の動向を見なければならない。
(2023年2月11日)
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