一票の格差と違憲

 日本では、参議院選がはじまった。選挙が終わると、また一票の格差問題が出てくるのかと思うと憂鬱になる。

 今度の選挙は、憲法改正にも関わる選挙だ。一票の格差でまた違憲判決が出るようであれば、憲法改正の話は絶対になしにしなければならない。先の衆議院選挙でも、一票の格差で違憲判決が出ているのだから、両院共に違憲状態で選出されたとなれば、たいへんな異常状態だ。

 違憲状態で行われた選挙で選出された議員には、憲法改正について議論する資格がない。これは、法治国家の根幹に関わる問題だ。それでも憲法改正にこだわるのなら、政治家としては失格だ。法治国家ということがわかっていないのだから、すぐに議員バッチを外してほしい。

 ドイツの場合、一票の格差に関して法的に厳しく規制されている。選挙法で、選挙区の人口(!)が選挙区平均人口の平均プラス/マイナス15%でなければならないと規定されているのだ。その格差がプラス/マイナス25%を超えると、区割りを変更しなければならない。以前このハードルは平均人口の3分の1だったが、それがさらに25%に引き下げられた。

 現在、この25%のハードルを超える選挙区は一つもない。20%から25%の選挙区が19選挙区ある。選挙区は全体で299選挙区なので、全体の6%程度にすぎない。

 ドイツでは、統計庁の長官が国政選挙の選挙管理委員長を兼務する。つまり、選挙管理委員会が人口の変動を常に監視できる場に置かれているということだ。選挙管理委員会は選挙後、新国会がはじまると、15ヶ月以内に前の選挙における選挙区の格差問題等について報告書を提出し、問題があれば変更提案をしなければならい。

 といっても、ドイツの選挙法にも、これまで何回となく違憲判決が出されてきた。そして日本と同じように、選挙法が改正されるまでたいへん長い時間がかかっている。

 現在、ドイツで違憲とされているのは、選挙制度が違うのでちょっと難しいが、一票の格差ではなく、選挙区と比例区の関係に関するものだ。ドイツの選挙制度では、比例区での政党の得票率が議席数を決める基盤となる。これは、選挙区に強い大政党がたくさんの議席を獲得するのを防ぐための規則だ。

 しかし、選挙制度では依然として、選挙区に強い大政党が優遇されている傾向にある。それが、憲法裁判所の判決で何回となく違憲だとされてきた。

 選挙法の違憲判決では、いつまで選挙法を改正しなさいというデットラインが設定される。しかし、大政党が政権を握る政府は、自分たちが優遇されている制度をなかなか改正したがらない。

 この点に関しては、ドイツも日本も同じだ。

(2013年7月10日、まさお)

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