さよなら減思力

アサド政権が化学兵器を使ったという確実な証拠はない

 ドイツ情報機関BNDのシントラー長官は9月2日、治安担当国会議員に対してシリア問題で状況説明を行った。この種の会合は通常、秘密裏に行われるが、聴講した国会議員がその内容をメディアに漏らしてくれるので、内容が曝露されて、記事されてしまうことが多い。

 今回も情報機関から説明のあった情報が、ドイツのいくつかのメディアによって報道されている。その内容をまとめると、以下のようになる。

 シントラー長官によると、アサド政権が化学兵器を使ったという確実な証拠はない。しかし、それを示唆するものが十分あるとの立場だという。

 示唆する内容とは、以下だ。

 毒ガスとそれを使うための小型ミサイルを使えるのは、アサド政権のの専門家しかいない。

 8月21日の大量殺人前にも、化学兵器が使用されていた。それまでは少量しか使用されておらず、その結果死者数も少なかった。

 8月21日に化学兵器で大量殺人が行われた背景としては、ダマスカス北部で反体制派が勢力を拡大したことから、アサド大統領の兄弟の指揮の元で化学兵器が使用されたと推定される。しかし、毒ガスの使用量を間違えて、大量殺人になってしまった可能性もあるとしている。

 反体制派を支援するヒスボラの幹部がレバノンにあるイラン大使館と電話したのを、ドイツ情報機関が盗聴した。それによると幹部は、「アサドが切れてしまった。毒ガス使用を命令したのは大きな間違いだった」と、語っているという。

 ヒスボラ幹部の通話を盗聴した以外の内容については、独シュピーゲル誌がすでに1週間前に報道していた。

 シュピーゲル誌は2012年から化学兵器が使用されているのをつかんでおり、それを立証するため、今年5月に試料をシリアから持ち出し、国連を含め、国連に認定された分析機関に試料の分析を依頼していた。しかし、分析はことごとく拒否され続けてきたという。

 同誌はさらに、現地医師の証言から、日本でのオウムのサリン事件の時も治療に使用されたアトロピンを注射することで何人もの命が救れたとしている。ただアトロピンがまったく足りないので、アトロピンの代わりにタマネギの汁まで使ったと、現地医師が証言したという。

(2013年9月05日、まさお)

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