リンゴがなくなる
19歳で亡くなったわが家の愛猫をベルリン郊外にある動物墓地に埋葬したが、その墓地の周辺には、野生のリンゴの木がたくさん生育しています。毎年秋になると、リンゴの木には赤いリンゴがたくさんなっています。
ぼくは毎年9月に、リンゴの木の周りに落ちたリンゴを拾いにいくの楽しみにしています。大きな袋に一杯リンゴを集めて、わが家に持ち帰ってムースなどにして食べます。
しかし今年の秋は、そのリンゴの木にはリンゴがほとんどなっていませんでした。それは、ベルリン@対話工房のベルリーナールフトでも報告した通りです。
ベルリン郊外に住む友人にこの話をしたら、友人の庭にあるリンゴの木でもリンゴがならなかったといいました。友人はその原因として、ちょうどリンゴの花が咲いていた時に、寒い上に雨が続いたので、昆虫が出てこなくてリンゴの花が受粉しなかったからだろうと推測しています。
ハチやチョウチョウ、その他の昆虫が植物の花が咲いた時にめしべなどの雌性器官に花粉を運んで植物が受粉しない限り、植物の実はなりません。ハエやガ、アブなど人にとって嫌な昆虫も、花粉を運ぶ重要な役割を果たしています。
昆虫は、生態系においてなくてはならない存在だということです。この生態系のシステムが成り立たないと、われわれ人類は食糧となる植物ばかりでなく、資源となる植物も失ってしまい、生きていくことができなくなる可能性があります。
しかし現在、世界中で昆虫が減ってきています。ミツバチが多量に死んでいたのが発見されたというニュースが何度となく報道されました。
その原因として、農薬や温暖化など異常気象が考えられています。人類が人工的に産業活動を行なうことによって、自然の生態系に異常が発生して昆虫の減少が起こっているといってもいいと思います。その結果、人類が生きていくためになくてはならない植物が健全に生息できなくなってきているのです。
地球上から植物がなくなってしまったらどうなるのでしょうか。人工的に植物を受粉させて生息されせばいいというかもしれません。でも、それでは植物の多様性を維持できません。
昆虫や植物が多様であれば、気候など環境が変化してもある被害に強い昆虫や植物がいます。それで、自然の生態系が持続的に維持されます。それが人工的に植生がモノトーン化されてしまうと、ある特定の被害で植物は全滅しかねません。自然の多様性というのは、生存を担保するものでもあるのです。
われわれ人類が持続的に生きていくには、その現実を知っておかなければなりません。
(2017年11月19日、まさお)
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