くそとシャイセ
日本語とドイツ語の間には、違いがあるばかりではありません。似ているところもあります。その一つが、日本語の「くそ(糞)」です。ドイツ語では、「シャイセ(Scheiße)」といいます。
この「シャイセ(Scheiße)は慣用句では、いやなことや、侮蔑したり、ののしる対象として、否定的な意味にも使います。さらに、「くそっ」と自分を鼓舞する時にも用います。
この使い方は、日本語とドイツ語でとてもよく似ています。日本語では、「くそガキ」とか「くそ天気」といいます。同じように、ドイツ語でも「くそガキ」と「くそ天気」のことを「シャイスカール(Scheißkerl)」、「シャイスヴェター(Scheißwetter)」といいます。 この「シャイス」は、「シャイセ」からきています。意味は、日本語と同じです。自分の気持ちを奮い立たせる時も、「シャイセ(Scheiße)!」と強く発音します。
この「くそ」を慣用として否定的に使ったり、気持ちを高める時に使う気持ちは、ドイツ語ではとてもよくわかります。
ドイツの路上には、よく犬の糞がころがっています。それに気づかずに踏んでしまうことがよくあります。その時、ドイツ語では「シャイセ(Scheiße)!」といいます。ドイツ語では、その時の感情が慣用表現にとてもよく反映されていると思います。糞を踏んで、「ちきしょう」とか「このやろう」と思う気持ち。日常生活で起こることにとてもよく密着しています。
日本語でも、「くそ!」というのはそういう感情的なものなのだろうと思います。それが犬の糞を踏んだことに由来しているのかどうか、ぼくにはよくわかりません。日本の路上では飼い主が糞を拾って持ち帰るので、糞を踏んづけることがありません。日本では、糞を踏んだ時の感情をもう忘れてしまったのかもしれません。
(2017年12月09日、まさお)
Leave a Comment