エイプリルフールと改ざん

 今年もドイツでは、4月1日にエイプリルフールとしていろいろな嘘ニュースが報道されました。新聞によっては、今年のエイプリルフール・ベストテンを掲載しているものもあります。

 ぼくの生活するベルリンでは、「ベルリン新聞」がベルリンのプレンツラウアーベルク区で22時以降アルコール飲料の販売が禁止されると報じました。同区では、ドイツ南西部のバーデン・ヴュルテンベルク州からきている市民が多く、同州出身のまじめな市民の要望に応えるために、夜遅く道路で騒ぐ若者を取り締まる目的だと、もっともらしく報じています。

 この嘘ニュースにはぼくも騙され、バーデン・ヴュルテンベルク州の各紙でベストテン入りしていました。

 同じくベルリンの「ターゲスシュピーゲル紙」は、ベルリンのSバーン(東京のJR線に相当)、地下鉄、トラムで一等車を導入すると報じました。ベルリンでは、公共交通が込み出しているだけに、高所得者層の公共交通利用率を高めるための対策としています。一等車の座席シートの写真まで掲載しています。

 ただこの嘘ニュースは、市内の公共交通に階級差を設けることになるので、ぼくはちょっと問題だなと思い、すぐにホント?かなと思ってしまいました。

 企業発では、ドイツ大手スーパーマーケットのエデカが、今年5月から現金で支払う代わりに、フェースブックの個人データをレジで提示すれば、現金なしで商品を購入できるようになると発表しました。フェースブックの個人データ悪用が問題となっているだけに、アクチュアルなニュースを利用したウソ発表です。

 また、ドイツ南東部のゲルリッツ(旧東ドイツ)の警察当局は、旧東ドイツの国民車「トラバント」をリフォームして最新鋭の技術を搭載させ、パトカーに採用することを決定したと発表しました。これも、パトカーに塗装されたトラバントの写真付きです。

 こうして毎年4月1日になると、嘘ニュースで冗談をいえるのは楽しいものです。でも現在、そうもいっておれなくなっています。

 世の中では、ポピュリストがフェイクニュースを頻繁に流し、毎日ネット上で嘘ニュースが氾濫しています。何が本当なのか判断するのがたいへん難しくなっています。

 日本でも、公的文書が改ざんされ、たいへん大きな問題になっています。これは、霞ヶ関では4月1日だけではなく、エイプリルフールが日常化しているといっても過言ではありません。改ざんで国民が公的に騙されていることになるので、冗談にもなりません。

 この状況ではエイプリルフールだからと、冗談にも「安部首相辞任」と嘘ニュースは流せません。たとえ実際の「安倍」ではなくて「安部」としても、現実味がありすぎます。

 冗談もいえない社会。悲しいなあ。

(2018年4月02日、まさお)

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