物々交換するための通貨があってもいい

 ベルリン@対話工房のブログは、「タウシュ」といいます。「タウシュ」はドイツ語の”Tausch”に由来し、「交換」という意味です。

 このタウシュから思いついたのは、ベルリン@対話工房のサイト上でしか使えない一種のバーチャル地域通貨のようなものができないかということです。お金として価値がないもので、資本を蓄積することを目的としない物々交換するために使う一種の「通貨」のようなものを考えていました。

 「タウシュ」を使用しないと、つまり、物々交換しないまま「タウシュ」を持ったままにしていると、「タウシュ」は発行後1年で失効します。使用しないと、1年後に物々交換する通貨として価値がなくなり、使えなくなってしまうということです。

 「タウシュ」には、通貨としての価値があるわけではありません。物々交換を行うための権利があることを証明する引換券のようなものです。それによって、「タウシュ」による物々交換社会に加入していることも証明します。

 この種の「通貨」があれば、物々交換が促進され、物流が活発にならないかと思いました。何と何を交換するかは、個人の自由。物の価値は個人で判断し、提供されている物と交換するかどうかは、その都度個人で判断すればいい。

 物としては二束三文でも、その時にそれしかないと、お金には変えられない価値があります。それを認識することも大切です。

 となると、価値とは何かが問題になります。

 物々交換が成立したら、物と一緒に「タウシュ」を相手に渡します。相手からは、交換する物と一緒に別の「タウシュ」が渡されます。

 たくさんの物を物々交換したい場合は、「タウシュ」をたくさん持っていなければなりません。それは、希望に応じてベルリン@対話工房が発行します。

 このシステムでは、「タウシュ」の移動を電子的に管理しないといけません。その管理も面倒です.

 でもこう考えていくうちに、通貨とはどういうものなのか、いろいろ気づいたことがありました。当然のことですが、通貨というのは誰かが発行するものだということです。

 現在、通貨は各国の中央銀行が発行しています。中央銀行は景気や市場の動きを見ながら、通貨の発行量を管理、監督しています。でも、これを誰も管理しなかったら、大量の通貨が無謀に市場に流れる危険があります。

 発行された通貨が使われないで、誰かのところに蓄えられるだけとなると、同じところに通貨が集中してしまいます。通貨は使って循環しないと、通貨が不足します。そうなると、いつまでも新札を印刷し続けて、通貨を市場に供給しなければなりません。

 でもそれは、人工的にお金によって豊かさをつくっていることになりませんか。

 そう思うと、ぞっとしました。一部の人が莫大な数の紙幣を集めだすと、その一部だけが裕福になり、その裕福さはまったく分配されません。

 となると、何のために通貨があるのか疑問になります。

 その意味で、「タウシュ」のように使わないと価値を失っていく通貨というのは悪くないのではないかと思いました。

 さらに、物々交換できる社会ができれば、お金の価値は意味がなくなるのではないかとも思いました。必要な物を物々交換で手に入れることができれば、それだけで生きていける道もあるのだろうと気づきます。

 ベルリン@対話工房では、「タウシュ」によって物々交換市場をつくることができませんでした。でも通貨の意味を知るという意味では、考えを巡らせる「価値」があったように思います。

(2019年3月15日、まさお)

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