声をあげる若者たち

「ぼくたちの未来を奪われようとしているから、ぼくたちはここにいるのだ。そして、声をあげているのだ」

 若者たちは街中をデモしながら、何回も何回もこうシュプレヒコールをあげました。

 ベルリンでは今日3月29日も、気候変動を阻止しようとする若者たちのデモ”Freidays for Future”が行われました。ドイツでは全体で、30カ所でデモが行われたといいます。

 ベルリンには、若者たちが各地から大型バスで一緒に集まっており、主催者は参加者を2万5000人と発表しました。

 ベルリンのデモの主催者の一人であるルイーザさんは、「デモをはじめたのが15週間前。その時は、連邦議会前に200人しか集まらなかった。メディアの取材も、一人しかきていなかった」と語ります。

 それが、今日はこの人数です。

 特に今日は、小学生の参加が目立ちました。学校の先生に引率されているグループ。父兄に引率されているグループ。お父さんやお母さん、おじいちゃん、おばあちゃんと一緒にきているこどもなどなど。こどもたちの顔がこれまで以上に並んでいます。

 そのためか、迷子のアナウンスが何回かありました。それだけ小さなこどもたちがきていた証です。

 今日は、この運動の発起人ともいえるスウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんがデモに参加しました。グレタさんのほか、スイス、ポーランド、イギリス、ベルギー、フランス、デンマークからも若者がベルリンにきて、スピーチをしました。

 以下に、今日聞いた若者たちの声を簡単にまとめておきます。

トビアス(ドイツ):社会全体で立ち上がれば、政治をうごかすことができるよ
パウラ(ドイツ):政治が何もしないのだから、若者たちが責任を持つしかないわ
ヤコブ(ドイツ):経済成長のために、すべてを破壊したいのか
男女(スイス):今は、大銀行に支配された社会。民主主義にやさしい経済をつくっていくしかない
ルイーザ(ドイツ):気候変動の被害を受けるのは、わたしたち若者よ。政治が動かない限り、デモを続けていくつもりよ。明日やればいいと思っていては、もう遅いわ
マヤ(ポーランド):ポーランドは石炭に頼ってきたけど、それを変えるしなかいわ
女子(イギリス):EU離脱も含めて、政府は若者たちのことを何も考えていないのよ
ティモ(ドイツ):不確かな未来に押しやられたくないよ。エネルギー転換(再生可能エネルギー)、農業転換(有機農業)、交通転換(自動車締め出し、公共交通の拡充)が必要だよ
グレタ(スウェーデン):わたしたちの未来を心配しているというと、(大人たちは)心配しないで大丈夫よというでしょう。いや、心配しないといけないのよ。パニック状態にならないといけないのよ

 インターネット社会に生きる若者たち。若者たちのネットワークは世界中に、すごく早いスピードで広がっていきます。また、デジタル化で育つ若者たちの世界観が、古い時代の大人とはかなりかけ離れています。

 大人たちは戦後、経済成長ばかりに進んでいました。でも若者たちは、経済成長によって地球の環境が破壊されてきたことをよく知っています。そして、その破壊された地球を将来押し付けられることも。

 お金がすべてではない。自分たちの生活する環境を守らなれば、いくらお金があっても意味がないことも知っています。

 若者たちの意識は、変わったのです。

 自分たちの未来のために、地球を守ろうとする若者たち。それに対して、古い時代を守ろうとする政治。与党第1党のクランプフ・カレンバウアーCDU(キリスト教民主同盟)新党首はこの問題で、若者たちの活動は真剣に受け止めないといけない。でも、雇用を守ることも考えないといけないとしています。

 でもそれでは、若者たちは待っていません。若者たちはこのままでは、自分たちの未来がいかに破壊されたもになるかを知っています。大人による政治が今すぐにでも若者たちに確かな未来へのビジョンを示せない限り、若者たちは黙っていません。何もしない政治から離れていくばかりです。

 それは、利益至上主義を貫く経済にも同じことがいえます。経済も今のような形では将来、成り立ちません。

 CDUのシュパーン厚生大臣は若者たちのデモについて、(デモをするのではなく、)政治がどうすべきか若者からアイディアを出すべきだという主旨の発言をしました。若手のホープといわれる保守系の政治家がこのレベルです。アイディアを提示するのは、政治の責任です。それだからこそ、市民は政治についていきます。

 それができないなら、政治家を辞めるしかありません。

(2019年3月29日、まさお)

 ベルリン@対話工房のインスタグラムのストーリーズに、今日のデモの写真を投稿しておきます。

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