極右テロ – ベルリン・ノイケルンの場合

 前回、極右テロの問題について書きました。

 今回は、ベルリン市の中でも移民の多いベルリン西南部のノイケルン区において、具体的にどんな極右テロが起こっているかについて書いておこうと思います。

 ベルリンの極右攻撃に対抗するための移動相談グループがまとめたところでは、ノイケルン区では2016年からこれまでに55件の極右による「攻撃」が記録されています。主なものは、住宅の外壁などへの落書きによる脅しや、石や瓶を窓へ投げ入れるなどの破壊行為、放火です。

 そのうち放火が16件で、ほとんどが駐車された自動車を対象にした放火でした。

 たとえばノイケルン区の左翼党副代表のフェラート・コカクさんは、トルコ系ドイツ人。極右化に対抗して積極的に活動しています。

 だが今年の1月31日から2月1日の深夜にかけて、自宅すぐ横のガレージに駐車してあった自家用車が放火されました。幸いすぐに気づいて消火されましたが、もし気づかないまま火が自宅にまで移っていたらと思うとゾッとする、どうなっていたかわからないといいます。

 後でわかったのですが、コカクさんは極右政党のドイツ国家民主党(NPD)の元党員とドイツのための選択肢(AfD)のノイケルン区代表の2人によって約1年間に渡って、行動が監視されていました。

 治安当局がそれを把握していましたが、コカクさんはまったく知らされていませんでした。

 放火事件後、2人は拘束され、取り調べを受けました。しかし、すぐに釈放されます。コカクさんは、経緯の詳細を一切知らされません。

 コカクさんは現在、自宅を引越し、引っ越し先の新しい自宅は警察によって警備されています。自家用車のナンバーも変えました。

 コカクさんは、不安でしようがないといいます。極右派グループは脅して、極右に対する抵抗を止めさせようとしているのだろうといいます。

 現在ベルリンでは、こうしたことが日常茶飯事で起きているのかと思うと、背筋が寒くなる思いがしました。

 極右行動に対抗するために移動相談グループの代表ビアンカ・クローゼさんに、こうした極右テロを行う人たちは一体どういう層の人たちなのだろうかと聞いてみました。

 するとクローゼさんは、「社会のまったくの中間層だ」と答えました。

 やはりと思う反面、そうなると識別のしようがありません。巷のいたるところに、極右がはびこっている可能性があるということです。

(2019年7月19日、まさお)

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