ドイツで、米軍兵士が事故を起こすとどうなるのか?

 ドイツ南西部のラムシュタインに、ヨーロッパ最大の米国空軍のエアベースがあります。

 ラムシュタインのエアベースは、米国空軍の欧州総司令部があるところ。ただ基地としての役割は、空軍のための輸送、補給、負傷兵士の看護などで、戦闘機は常駐していません。その他、中近東などでのドローンの遠隔操作もここから行われているとされます。

 基地周辺の軍関連施設も含め、地域一帯に駐在する米軍兵士は約1万7500人。現役兵士の家族と、その他米国民間人、退役軍人とその家族を入れると、この地域全体に5万人以上の米国人が滞在しています。

 米軍基地による地元経済への経済効果は、ラムシュタイン市によると、地域全体で年間2兆ユーロを超えます。

 これは、たいへん大きいといわなければなりません。地域全体が、米軍基地に依存しているといっても過言ではありません。

 今年2019年2月、ラムシュタイン郊外の州道で、ドイツ人17歳の生徒の運転する小型三輪車と20歳の米軍兵士の運転するスポーツ車が正面衝突。17歳のドイツ人生徒が死亡しました。

 事故を起こした米軍兵士とスポーツ車に同乗していた女性も、重傷の怪我を負っています。

慰霊碑
事故現場近くの道路脇には、亡くなったドイツ青年の慰霊碑があった

 事故は、米軍兵士の運転するスポーツ車が前の車を追い越した後、元の車線に戻らないまま走ったため、対向から走ってきた三輪車と衝突したものです。

 すぐに、ドイツの警察当局と米軍の軍警察が現場検証を行います。ドイツの消防隊が、事故車の後片付けなどをしました。

 消防隊の隊長によると、その時、後片付けにおいて米軍側の妨害や制限はまったくなかったといいます。

 しかし事故原因の捜査については、ドイツの地元検察当局が米軍警察に主導権を渡してしまいます。ラムシュタイン市当局の説明によると、ぼくが理解した限りでは、こういう場合、ドイツ警察当局は米軍警察による捜査に直接加わることはできず、傍聴権が与えられるにすぎません。

 ラムシュタイン市当局によると、ドイツの警察は、捜査状況に関する情報を常に把握しているといいます。

 この自動車の事故の場合、事故を起こした米国兵士がアルコールないし麻薬の影響を受けて運転していた可能性も指摘されています。

 しかし事故原因は、いまだに公表されておらず、わかっていません。また、事故を起こした兵士が今、どこにいて、どうなっているかもわかっていません。

(2019年8月02日、まさお)

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