静かな米軍基地周辺

 ぼくは、ラムシュタインのエアベースの近くにあるホテルに宿泊していました。それで気づいたのは、米軍基地の近くにいるのにとても静かなことです。

 ぼくは、ベルリンの中心街に暮らしています。そこでさえ、風向きによってはテーゲル空港から飛行機の騒音が結構聞こえます。

 朝食の時にホテルの職員に聞いてみると、だいたいこんなものだといわれました。となると、結構静かです。でも冬のほうが、飛行機の騒音がよく聞こえるといわれました。職員は、「でも、(騒音には)慣れてしまいました」ともいいました。

米軍空軍基地
森に囲まれたラムシュタイン・エアベース

 冬のほうがうるさいのは、エアベースが森に囲まれ、冬になると木の葉が落葉してしまうからです。

 ラムシュタイン・エアベースの立地するラムシュタイン・ミーゼンバッハ市で、マルクス・クライン副市長に基地問題について取材することができました。

 エアベースには、ドイツの民間空港に対する規制と同じ規則が適用されています。これは、米軍側が自主的にそうしているのだといいます。飛行機の離着陸についても、民間機と同じように規制されます。

 ドイツの民間空港では、夜間飛行(通常は、22時から6時)が禁止されています。米軍もそれを守ります。

 でも軍の作戦によっては、夜間離着陸が必要にある場合もあります。その時は、基地司令官が特別に許可を出します。ただその回数があまりに多くなると、市側が説明を求め、その理由について調査することができます。

 米軍基地と周辺自治体の間には、騒音防止委員会が設置されています。委員会には、市民の代表も参加することができます。委員会で審議された内容は、市議会にも情報が提供されます。騒音に関しては、かなりオープンになっていると感じました。

 基地周辺が静かな一つの大きな理由は、ラムシュタイン基地には戦闘機が駐留していないからです。基地を利用するのは輸送機だけというのは、騒音上かなり大きいと思いました。

 米軍は、この基地をフランス軍から譲り受け、新しい滑走路を設置しました。その時、民間空港を建設する時と同じように、周辺地域への影響調査(環境アセスメント)が行われました。騒音被害を受ける周辺の住宅地をできるだけ少なくするように滑走路の位置、方向を決めるほか、空路も慎重に選定されました。

 現在緊急時以外、旧滑走路は使われていません。

 ドイツは、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国です。そのため、NATOとの地位協定に基づき、米軍を含めたNATO軍の駐留基地には現在、ドイツの国内法が適用されます。

 クライン副市長は、基地の通行証を見せてくれました。市長と副市長などが持っています。通行証を基地の入り口ゲードで見せると、事前の許可がなくても、いつでも基地に入ることができます。通行証とともに、市の職員4人を同行させることもできます。

 ただ、それは通常業務の時だけ。基地が作戦上警戒態勢にある時は、そのレベルに応じて、通行が制限されます。

(2019年8月16日、まさお)

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