米軍基地に依存する地元経済
ラムシュタイン駅前に、大きなスーパーマーケットがありました。その前に、広い駐車場があります。米軍基地に対する地元住民の声を聞いたいと思い、何人かに声をかけてみました。
駐車場には、ドイツナンバーの車しかありません。だからドイツ人かと思ったのですが、問いかけた人すべてがすべて、米国人でした。
後でわかったのですが、家族も含め、米軍基地関係者は車に米国ナンバーをつけることもできます。でもほとんどの米国人が、ドイツナンバーをつけているといいます。米国ナンバーをつけていると、基地関係者だとわかって、地元住民からいやがらせをされたり、罵声をあびせられたりする可能性があるからだということです。
スーパー横のパン屋さんがレストランにもなっているので、そこで一休みしていました。そこでも、パンを買いにくるお客さんは、ほとんどが米国人でした。
米国人は、米国空軍基地ラムシュタイン・エアベースの軍関係者かその家族だと見られます。
米軍基地のあるラムシュタイン・ミーゼンバッハ市によると、米軍基地のおかげで地域全体に年間2兆ユーロ(約260兆円相当)の経済効果があるといいます。地元が、いかに米軍基地に依存しているかがわかります。
駅前から少し離れた広場で、ようやくドイツ人女性に話を聞くことができました。女性は60歳代。若い時は、米軍基地に反対してデモにも参加していました。でも今は、「米軍基地が、地元の一部になってしまっている」といいました。「騒音も、もう気にならない」といいます。
その時、若い女性が1人ぼくたちに近寄ってきて、基地反対デモはどこで行われのかと聞いてきました。でもデモは、今日ではありません。翌日です。すると若い女性は、デモ隊のキャンプはどこかと聞きました。キャンプは、ラムシュタイン近郊の村の郊外に設置されています。
キャンプにいくには車がないとたいへんだなと思っていたら、60歳代の女性は「(自分は)その村に住んでいるから、今車で一緒に連れて行くわ」といってくれました。
翌日はデモ。市役所横の広場でデモ集会があった後、エアベースの正門近くまでデモ行進します。
この日は、とても暑い日でした。デモ集会でも、参加者は影のあるところに集まっていました。デモの道中はたんへんだな、と想像できました。主催者側はデモに出る前、道中には水がたくさん用意してあるから、水をたくさん飲むようにと注意しました。
主催者の1人によると、デモの道中に水を用意しておくのもたいへんだったといいます。地元自治体が、路上で独自にミネラルウォーターなどを販売するのを禁止しました。これに対しては裁判所に訴え、自治体の要求が無効になりました。
独自に水を用意するほかにも、道路の両脇にあるお店やガソリンスタンド(ドイツでは、ガソリンスタンドにミニショップがある)とも、デモ当日にミネラルウォターをいつもよりたくさんおいてほしいと、事前に交渉しました。
しかし、どのお店もあまりいい返事をしません。デモに関係したことが基地関係者にわかって、客が離れていくことを心配しています。しかし何回も説得を重ね、ミネラルウォターをおいてもらうことができました。
エアベースの正門から少し離れたところで、デモの最終集会があります。そのために、仮設のトイレも用意されました。仮設トイレのレンタル会社に委託しました。
しかしデモ前日、仮設トイレに用意されていた洗剤に化学薬品が入っていたことがわかります。主催者のスタッフ2人が仮設トイレの洗剤で手を洗い、手が荒れる被害を受けたのです。幸い軽症でしたが、これは明らかに犯罪行為です。
主催者の1人は、仮設トイレのレンタル会社がエアベースと取引があるので、いやがらせをしたのではないかといっていました。しっかり調べて、警察に届けるということでした。
(2019年8月23日、まさお)
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