ドイツに主権はあるのか
ドイツにあるラムシュタイン空軍基地は、米国空軍のヨーロッパの拠点です。イラク戦争時においても、ラムシュタイン基地が重要な役割を果たしました。
今後可能性のあるイラン攻撃の準備をするため、米国からラムシュタイン基地に飛んでくる輸送機の数が格段に増えているといわれます。
ラムシュタイン基地はさらに、米国空軍のヨーロッパにおけるドローン操作の拠点です。ドローンパイロットがたくさん勤務しているといわれます。たとえば中東において、テロリストに対するドローン攻撃はラムシュタイン基地から行われています。
ドイツは、イラク戦争に参加しませんでした。イラン問題についても、外交的に解決すべきだとの立場です。
でも米国空軍は、ラムシュタインからイラク戦争を行い、イラン攻撃も準備しています。
それに対して、政治的立場の異なるドイツには、ラムシュタイン空軍基地が米軍の軍事行動や戦争に加わることを拒否する権限がありません。
ラムシュタイン基地からドローンによって民間人が殺害されても、ドイツはそれを止めることができません。
問題は、それでドイツに主権があるのかです。
左派政治家の重鎮、オスカー・ラフォンテーヌさんは、「ドイツに主権はない」とはっきりいいます。
ラフォンテーヌさんは、社民党元党首で、社民党離党後は左翼党党首も務めました。社民党時代は、ドイツの財務大臣にもなった人物です。
ラフォンテーヌさんは、ドイツの政治的な意思に反して米軍がドイツの領地から勝手に軍事行動や戦争を行うことができるのであれば、ドイツに主権なんかあるはずがないとはっきり主張します。
ラフォンテーヌさんの主張には、ドイツでも賛否両論があります。
米軍は、NATO軍としてドイツに駐屯しています。日常の訓練も、NATO軍の一員として行われています。だから、前回の記事のように、攻撃機が墜落した場合、NATO軍の規定によって処理されます。
でも、ラムシュタイン基地からの軍事行動の多くは、NATO軍として行われたものではありません。米軍の命令下で単独で行われたものです。それでドイツは黙っていていいのだろうか、黙っていなければならないのかと疑問に思います。
とすると、ラフォンテーヌさんがドイツに主権はないというのも納得できます。
ぼくは、これまでドイツにおける米軍基地の問題を取り上げてきました。それは、沖縄など日本の基地問題とはかなり違うことを知ってもらいたかったからでした。
ドイツでは、米軍基地にもドイツの法規が適用されます。軍に関わるものは、NATO軍の規定にしたがいます。そのドイツにおいてさえも、ドイツに主権があるかどうかが問題になっています。
それに対して、日本は日米地位協定にがんじがらめにされ、米軍の思うままにされています。それで、日本に主権はありますか。
ないと思います。
(2019年9月13日、まさお)
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