ホロコーストはウソなのか
日本に、ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)をウソだと思っている人が以外と多いのに、ちょっと驚かされています。最近も、「ウソ、あの人が」と思う人がメールに、「あれはウソ」と平然と書いているので、びっくりさせられました。
つい数日前、イギリスの過激な環境活動家がドイツの新聞とのインタビューで、「ホロコーストは、人間のノーマルな行為のひとつ」であるかのような発言をしてしまいました。本人は後で自分でいったことの重大さについて悟り、反省しているようです。
しかし、後の祭りです。ドイツで出版予定だった本は、出版を取り下げられました。
ドイツでは、ホロコーストの現実を否定することは犯罪行為です。それについても、日本ではおかしいと思っているジャーナリストがいるようです。
そのジャーナリストは冒頭に、ホロコーストはウソだと書き、でもそう書くと犯罪者になるので、それ以上は検証できないとしています。といいながらも、ユダヤ人の政治的、経済的な影響力の大きさについて書き続け、ホロコーストが宣伝に使われているにすぎないと断定します。
それを持って、いかにもホロコーストは作り話のように主張します。まったく稚拙な論理だと思います。
ぼく自身、ユダヤ人のやっていることを正当化できません。イスラエルがやっていることにも、納得できません。イスラエルが居住地を拡大しているのは、国際法違反以外の何物でもありません。
ドイツでは、イスラエルのやっていることを批判するだけで、ユダヤ人協会からは反ユダヤ主義とレッテルをはられます。それは、まったくおかなし論理だと思います。ホロコーストの過去があっても、悪いことを悪いというのは当然です。その権利を誰も奪うことはできません。それは、反ユダヤ主義ではありません。
かといって、ぼくはホロコーストを作り話だとは思いません。
ホロコーストとユダヤ人のやっていることは、別問題です。さらに、ホロコーストで600万人殺害されていようが、それほどたくさんのユダヤ人が殺害されていまいが、それがホロコーストの現実を否定するものではありません。
ぼくはこれまで、1980年代半ばからたくさんの強制収容所跡を見てきました。確かに1990年代はじめまでは、どの強制収容所跡にいこうが、ほとんど同じ写真が展示されていました。だからといって、強制収容所があったことはウソではありません。
それは一つに、強制収容所が東欧など共産主義圏にあって、冷戦が終わるまで、強制収容所が政治的に利用されていたからです。また、当時はまだ、強制収容所毎の研究が十分に行われていませんでした。
それが、どこにいっても同じ写真しかなかった大きな要因だと思います。でも今は、各強制収容所跡毎に研究、調査が進み、その場で亡くなった収容者の個人史などを中心にした展示に変わってきました。
強制収容所跡を見てきた体験からすると、ホロコーストがウソ、作り話だとは到底思えません。強制収容所跡を見れば、わかります。
その現実は、あまりにも残酷です。
ホロコーストは、人種差別から起こっています。その行為は絶対に、許してはなりません。その現実からも、目をそらしてはなりません。この史実は、ユダヤ人の行為云々で否定できるものではありません。
(2019年11月22日、まさお)
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