記述式を議論する前に

 日本で今、大学入試における記述式問題を実施するしないでゴタゴタしています。政府は、見送りを表明します。

 記述式というので、何時間もかけるのかと思ったら、最高120字程度とあるのでびっくり。これが、日本では記述式なのかと。共通試験の問題とはいえ、記述式ならしっかりした論文形式かと思ったら、これじゃマークシート式と変わらないと思いました。

 ドイツの高校生からいわせると、日本のマークシート式は試験ではありません。パズルです。

 ドイツの高校生は、大学入学資格を取得するため、各学科毎(!)に6時間の記述試験を受けます。質問に対して、論文形式で書くということです。それに加え、口頭試験もあります。

 そのために、普段の授業から自分で考え、自分の意見を述べることを学びます。

 日本のように暗記中心の勉強では、本当の意味での記述はできません。記述式を導入したいなら、その前に授業改革しないと、生徒たちはそのための能力を養うことができません。

 記述式について議論するなら、まずそこからだろうと思います。

 日本では、最高120字程度の答えの採点の確保と質も問題になっています。

 ドイツでは、大学入学資格試験において統一試験はありません。カリキュラム自体も州毎に規定され、教材も先生がそれに合わせて独自に作成している場合が多いのが実情です。

 大学入学資格試験も学校の先生が作成し、学校の先生が採点します。

 ドイツでも、それで公平かの議論があります。そのため、全国統一試験を実施しようという動きもあります。でも、文化と教育は州独自の権利です。だから、国主導の統一試験には反発もあります。

 なので、まとまりません。

 でも大学入学者は、大学入学資格試験の成績だけでは決まりません。大学入学資格試験の成績による入学枠以外にも、その他のいくつかの方法で決める枠を設けています。入学志願する前に職業実習を義務化している学科もあります。また、抽選で入学できる枠も設けてあります。

 いくら採点の公平さを追求しても、100点満点公平になるわけではありません。どこかに不公平さが残ります。公平さに対する評価にも、必ず差が出ます。

 だからこそ、いろいろな手段で大学に入学できる方法を設けます。

 ぼくの知り合いの女性は、高校時代はそれほど成績がよくありませんでした。なので、志願した大学へはどの大学にも入学できませんでした。心理学という人気のある学科を志望していたことも、関係していたと思います。

 でも偶然、ブライブルク大学に抽選入学者枠があることを見つけ、募集したところ当たってしまいました。高校での女性の成績では、絶対に入れなかったと思います。

 大学に入り、彼女はグーンと伸びました。今は、ブライブルク大学を卒業し、別の大学で助手をしながら博士号を取得するための勉強をしています。将来、こどものためにカウンセリングのできる機関に入りたいといっています。

(2019年12月13日、まさお)

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