燃料を採掘して製品を製造、消費するまでのプロセス

 原子力発電にしろ、火力発電にしろ、従来の発電方法には、たくさんの燃料が必要となる。ウランや石炭、石油、ガスなどの燃料はまず採掘され、濃縮、精製するなど加工されて、発電所のある消費地に輸送される。

 日本のように資源のない国では、燃料を国外から輸入する。そのため燃料は、長い距離を輸送されなければならない。輸送は主に船で行われ、まず産出地から積出して、輸送後に陸揚げされる。

 燃料が陸揚げされても、まず保管されなければならない。そこから、さらに消費地に分配される。消費地でもまず保管され、その後に発電するために燃焼される。燃料は燃焼すると、廃棄物として残る。廃棄物も処分しなければならない。原子力発電後には放射性廃棄物が残るので、その処分にはたいへん長い年月が必要となる。

 これら一連の燃料の供給・消費過程を見ると、それぞれの地点においてそのためのインフラが必要となる。インフラには、投資しなければならない。

 こうして、これら過程の各所において雇用が創出され、経済が成長してきた。しかし同時に、格差も生まれた。それは一つに、燃料が供給チェーンにおける次の過程に引き渡される毎に、付加価値が上乗せられるからだ。その度に利益が生まれ、燃料の価格が引き上がっていく。

 この構造は、燃料を使って発電した後も変わらない。発電した電気の半分以上は、製品を製造するために使われる。それ以降、電気は製品を製造するための燃料となるにすぎない。だから、電気はできるだけ安くなるようにと圧力がかけられる。

 この圧力は最終的に、発電するための燃料を採掘する現場にまで及ぶ。

 製品が製造される過程においても、部品が組み込まれたりするなど次々と付加価値が付与され、それによって利益が生まれる。

 経済はこうして格差を生み出ことで、成り立っているといってもいい。

 格差をつくる構造こそが、利益を生み出す構造だ。格差が大きくなれなるほど、利益を上げる可能性も大きくなる。だから、利益を上げるための圧力が上から下の過程にかかる。

 製品を製造するプロセスにおいて格差をつくることが、それぞれの過程で働く労働者の賃金格差を生む原因ともなる。こうして、貧富の差も生まれる。格差が大きければ大きいほど、貧富の差も大きくなる。

 これは、企業内の構造においても同じだ。

 これが、資本主義の基本的な構造だ。こうして見ると、資本主義は生態環境では循環しない有限な燃料を使うことに依存しているといってもいい。

(2018年9月06日、まさお)

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