死んだ時、お金はどれくらい必要か?

自分らしく死ぬために

 これまで、相続に関わることについて話してきた。ただ自分の遺産を相続してもらうだけではなく、自分が死んだ時にはどうしてもお金がかかる。そのことを忘れてはならない。

 死んだ時にどうしても必要になるお金は、荼毘にふすお金と墓地に埋葬するお金、そのために葬儀屋に支払うお金、自分の住んでいた住居を処分するお金などだ。

 ドイツでは遺体を荼毘にふしても、埋葬されるまで灰壺(骨壷)は葬儀屋に保管され、個人の手元には戻ってこない。ドイツで埋葬するか、日本に持って行って埋葬する旨手続きしなければならない。ドイツでは勝手に、遺灰を処分することができないようになっている。それは日本とは違うので、知っておかなければならない。

 ドイツで一人暮らしで生活保護を受給していて蓄えがない場合、死後に必要なお金はドイツの自治体がまず負担してくれる。しかし、日本で親族を見つけてそのお金を回収してくるはずだ。

 日本の親族に対する負担を考えると、自分が死んだ時に必要になるお金くらいは、自分で蓄えておきたい。

 葬儀屋と墓地に支払う金額は、ぼくの経験からすると、最低でもだいたい2.500ユーロ(40万円余り)は必要だ。ただこの場合、東欧の火葬場で荼毘にふされ、灰壺が宅急便でドイツの葬儀屋に送られてくることを覚悟してほしい。埋葬は、無名墓地だ。お別れ会として葬儀のようなものをするとなると、500ユーロ(8万円相当)くらい追加でかかるだろうか。

ベルリン郊外の墓地にある礼拝堂。ノルウェー式の木造礼拝堂だ

 もちろん、レベルを上げれば切りがない。葬儀屋と墓地に支払うお金は最低レベルにせずに普通に考えても、5.000 – 6.000ユーロ(80万から100万円)くらいは用意しておきたい。

 葬儀屋とは生前に契約しておいて、生前中に必要なお金を事前に支払っておくこともできる。その場合、葬儀屋は死後それ以上にコストがかかっても、追加コストを要求してこないはずだ。

 住居を処分するのは、個人個人でかなりの差が出てくる。代理人ら友人がボランティアで処分してくれるならいい。でも業者に処分してもらうと、1日当たり1.000ユーロ余り(17万円)はかかると思ったほうがいい。それで、処分に何日必要になるかだ。

 賃貸アパートだと、アパートをきれいに借りた時と同じ状態で返さなければならないことも多い。そうなると、それにもお金がかかる。ただ長期間住んでいて、貸主が個人ではなく、住宅会社などの企業だと、直して返さなくてもいい場合もある。ただ賃貸物件の解約期間は3か月なので、その短い期間ですべて処分するのは、そう簡単なことではない。

 アパートを直すことになった場合、そのための職人さんの報酬はどれくらいするかも問題だ。個人でやっている職人さんは、最低でも1時間当たり25ユーロ(4000円)はかかる。業者に頼むと、1時間当たり40から60ユーロ(6.500から1万円)は請求されると思う。

 賃貸アパートは月の5日までに解約すれば、その月も含めて3か月後に返せばいい。だが5日までに解約できないと、解約期間は翌月から数えられる。その点も注意しておく必要がある。家賃の3か月分も、蓄えておかなければならないということだ。

 死んだ時にかかるお金は、個人差が大きいと思う。ただそれは、後で別の機会にも述べるが、後片付けをする代理人がどうするか次第でもある。ぼくの経験からすると、代理人としては節約すれば5.000ユーロ(80万円)くらいあれば、何とかできる可能性もある。しかし1万ユーロ(160万円)あればありがたく、安心して後片付けができると思う。

2024年4月26日、まさお

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