代理人とよく話し合い、自分の希望を書き留めておく
自分らしく死ぬために
これまで自分らしく、自分の考えるように死をむかえるため、代理人の選定から委任状の作成、患者意思表明書の作成の問題について書いてきた。
代理人とのことは選定したら、それで終わったらと思ったら大間違いだ。もちろんそれで、一つの大きなハードルを超えたのは間違いない。しかしその後、代理人に自分のことをもっと知ってもらわければならない。日本にいる家族ないし親戚にも、代理人のことを知ってもらう必要がある。
日本にいる家族ないし親戚は相続問題に関係するので、自分が代理人を選んだことを伝えておく。ぼくはそれだけではなく何らかの機会を設けて、日本の家族、親戚に代理人を引き合わせておくほうが、お互いに信頼できると思う。これは、代理人を選んだ後の大切な『いろは』である。
ぼくが世話をして後片付けをした友人2人の場合も、相続人となる方とは何回も会っており、よく知っていた。そのことは、ぼくが友人の死後、いろいろ後片付けをする上でとても役立ったと思う。
第三者として、代理人を『派遣』するようなNPO法人もある。しかしぼくは、そういう代理人はすすめない。代理人はやはり、自分がよく知っていて信頼できる人物がいい。

それだけではない。自分の病気のこと、病気に対する考えなども、機会があるごとに代理人と一緒に話しして、自分のことを知ってもらうことも大切だ。いくら患者意思表明書があっても、それが完璧にすべてのケースを網羅しているわけではない。表明書に書かれていないことが、起こることも考えられる。その時、代理人が最終判断することになる。
そのためには、死に際してどうしてほしいかなど、生前に自分の考えを代理人に伝えるようにしておきたい。
埋葬をどうするのかや、葬儀をどうするのかも、自分でこうしてほしいという希望があれば、代理人に伝えておく。そればかりでなく、自分の意思を文書として残しておいたほうがいい。
ぼくが世話をした友人2人の場合、生前から墓地と埋葬はどうするのか、早く決めてほしいといってきた。樹木葬がいいというから、樹木葬ならこの墓地がいいのではないかと、墓地を案内したこともある。
ただ先に亡くなった友人の場合、埋葬方法と墓地のことをぼくしか詳しく知らなかったことが問題になった。他の友人たちの中には、ぼくが亡くなった友人から聞いていたことを信用しない人もいた。そのため、亡くなった友人の意思がそうであることを信用してもらうため、周りの友人たちを説得しなければならなかった。
こういうことにならないようにするには、生前中に埋葬方法と埋葬してもらう墓地をはっきりと文書にして残しておくほうがいい。
後で亡くなった友人は、何かにつけてどこそこの墓地にこう埋葬してもらうことになっていると、オープンに公言していた。周りの友人、知人が故人の意思を承知していたので、誰も疑問に思うことはなかった。ぼくはそれで、たいへん助かった。
自分の死のことだから、いろいろ知られたくないと思うかもしれない。しかしそれは、むしろ逆だ。
自分の思うように死にたければ、自分はこうしてほしいということをしょっちゅう公言したり、しっかりと文書にして残しておくほうがいい。
代理人が親しい友人だからいいとか、自分のことをよく知っているはずだからと楽観せずに、代理人との人間関係をより密にしておくことも心がけたい。
ぼくの周りには、代理人を選定しても月日が経つうちに関係が薄くなり、もうコンタクトしていないという人もいる。それでは、自分が困るだけだ。そうならないように代理人とは普段からいろいろ密接にコンタクトして、一緒に話すようにしておきたい。
疎遠になってしまったら、代理人を選定し直すことも考えるべきだと思う。
2023年12月13日、まさお
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