代理人と法定後見人の違い
自分らしく死ぬために
ぼくは「代理人が必要」の記事において、ドイツで自分らしく死ぬために代理人を指名しておいたほうがいいと書いた。
そこで代理人のほか、法的に決める成人後見人制度があることも書いた。ただ代理人と法定後見人の違いをもっとしっかり区別しておいたほうがいいと思う。
まず代理人と法定後見人ではまず、その指名時期が違う。
代理人は、自分にまだ自己判断能力がある時に指名する。それに対して法定後継人は、認知症や脳梗塞などの脳障害によって自己判断できなくなった場合、代理人が事前に規定されていないと指名される。その場合、法定後見人の指名は法的に義務つけられている。

法定後見人は、管轄の裁判所に届け出なければならず、法定後見人の判断は家族も代理人も覆すことはできず、それにしたがわなければならない。
さらに法定後見人には、法的に規定されたわずかな報酬が支払われる。
ただ代理人も法定後見人も、本人が自己判断できなくなった場合にしか、その効力を発揮できない。そのため代理人への委任状は、本人が自己判断できる限り、その効力を発しない。この点は、注意が必要だ。
法定後継人が必要になった時、誰を指名するかが問題だ。法定後継人は、本人に代わって法的義務と法的事務を行う。本人に対する医療行為も決める。ただしその場合、本人が事前に患者意思表明書(事前表示書)を作成しておれば、代理人も法定後見人もそれにしたがわなければならない。
本人の症状についても、家族と同様に知る権利がある。
法定後見人はまず、家族や親族、友人から適任者を探す。法定後見人は自己判断できなくなった本人に代わって必要な支払いやお金の管理を行う。お金の管理については、毎年裁判所に対して報告義務がある
本人に介護が必要な場合、必要な介護を申請しなければならない。しかし介護に関して知識がないと、介護が必要かどうかもわからず、必要な介護を受けられなくなる危険がある。素人が法定後見人になる場合、それが高いハードルになる。介護サービスに関しては知らないと、最初からたくさんのことを勉強しなければならないので、その点に注意が必要だ。
それに対し、法定後見人を職業としているプロの法定後見人もいる。その場合、お金の管理や介護サービスの申請などを任せやすいが、プロとして抱える患者数が多いことから、事務的な処理で手一杯で、手厚いケアができない場合が多い。
そのため、家族や親族、友人が法定後見人になるか、プロに任せるかには、一長一短がある。
ぼくが代理人のほうがいいと思っているのは、事前に自分の意思を代理人と話し合っておけるし、代理人が必要あれば法定後見人にもなれるし、自分にはもうできないと判断すればプロの法定後見人を指名することもできるからだ。
2024年9月20日、まさお
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