エネルギーを肌で感じる

 エネルギーとは、何でしょうか?

 ぼくは、9章の「エネルギー源は暮らしの中にある」で、「自分の身の回りで里山や里海を見つける」のが大切だと書きました。

 ぼくたちは、光エネルギー(太陽の光)や運動エネルギー(風や川の水)、熱エネルギー(火力、原子力)を電気エネルギーに換えることによって電気を得ています。熱エネルギーを得るための燃料(石炭)は、化学エネルギー(光合成)によってできたものです。

 電気自動車は、電気を運動エネルギーに換えて車を走らせます。自転車は、ペダルを踏んで足の運動エネルギーをチェーンでタイヤに伝えているから走ります。

 こうして見ると、エネルギーというのは中学校で学んだ理科で十分理解できるものです。生活に密着していて、身の回りで使っているものだと感じます。

 これをもっと可視化させて、ゲームをしながらエネルギーを肌で体験する。それが、ドイツ北西部のアウリヒという町にある「エネルギー学習体験センター(EEZ)」のコンセプトではないかと思います。

 設置、運用しているのは、風力発電設備の大手製造メーカ「エネルコン(Enercon)」です。

 最初に、インストラクターがセンターでの遊び方を簡単に説明してくれます。その後、一人一人がエネルギーゲームに挑戦します。一通りやってみるには、3時間ほどかかります。

 最初に小さなステッィクのようなものを渡され、それをゲームをする装置に差し込んで、ゲームで得たポイントを集めます。最後に集計装置にステイックを差し込んで、集めたポイントを見ます。発行キーを押しておくと、出口のカウンターで成績表をプリントアウトしてくれます。

 ぼくは先日、NPO法人アースウォーカズの独日交流プロジェクトで福島県からドイツにきていた高校生9人と一緒にこのセンターにいってきました。

 LEDランプの光だけで、モデル自動車の屋根に取り付けられた太陽電池で発電させ、モデル自動車を動かすゲームがありました。光の角度によっては、モデルはまったく動きません。風で風船を動かして、輪型になったルートを一周させるだけのゲームもあります。風が適切になるように、レバーで風量を調整しなければなりません。滑車を回して木のボールを上に上げ、ボールを設置されたレールの上をころがすゲームもありました。

 そうかと思うと、火力発電所や原子力発電所を太陽光発電や風力発電に替えるには、画面上どの場所に移すのが適切か探し出すゲースもありました。適切な場所を見つけ出すと、どれくらいの発電容量に代わるのかも教えてくれます。画面上で適切な場所を探すのが、とても難しいゲームでした。

 エネルギー変換の関係を結びつけるゲームもあります。光エネルギーを運動エネルギーに換えるものは何か、化学エネルギーに換えるものは何かなど、その関係を見つけます。

 こうして、ゲーム毎に点数を集めます。難しいゲームも、簡単なゲームもあります。どうしていいのかわからなくても、とにかくやってみる。エネルギーとはどういうものなのか、エネルギーのことをもっと知る。それを実際に体験してみます。

 エネルギーが生活に密着したものであることを、肌で感じます。

 子どもも大人も楽しめるエネルギーゲーム。福島県の高校生からは、難しくてよくわからないという声もありました。でも、遊びながらエネルギーに接することができるのはとても大切です。こうした施設がもっとあればいいなと思います。

2018年8月19日、まさお

EEZサイト:www.eez-aurich.de

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