エネルギーの技術革新遅れていいの?

 ぼくは7月29日にアップしたブログ記事「日本のエネルギー基本計画は、自殺行為だ」で、既存の電力システムを温存しようとする日本の政策を厳しく批判しました。

 それは、これまでの大規模設備、中央集中型の電力システムでは、将来のエネルギー供給に対応できなくなり、高い電気料金を受け入れざるを得ない日本が世界から取り残されていく心配があるからでした。

 そればかりではありません。

 再エネへのエネルギー転換のために、各国は今、新しい技術開発で競い合っています。ただ新しい技術というのは、それほど正しくないかもしれません。というのは、既存の技術で十分だからです。それをエネルギー供給システムにマッチングさせればいいだけになっています。

 ドイツでは、送電網を安定させるため、送電会社がその中央監視室からボタンひとつで発電設備を送電網から切り離す(解列)ことができます。数年前日本にいた時には、日本ではそれを電話でやっているということを聞きました。それも、実際に切り離す数日前に連絡しなければならないということでした(本文「日本の電力供給システムは遅れている」参照)。

 ぼくは、唖然としました。技術国日本で石器時代のようなことをしていることが理解できませんでした。エネルギー供給システムをデジタル化して、ネットワーク化すれば何でもないことです。その技術は、日本にもあります。この分野では、日本の技術の方がドイツよりも優れているのではないでしょうか。

 それでいて、なぜその技術を使えないのでしょうか。

 それは、既得権益を守るために、既存の電力システムを維持しようとしているからにすぎません。そのために、日本の技術革新力と国際競争力を強化することが、二の次になっています。

 ドイツでは今、再エネのデジタル化、システム化に関する技術が盛んに開発されています。それは再エネの発電量に占める割合が30%を超えて、システム化の需要が増えてきたからです。さらに、技術を実情に合わせて試験できる条件が整ってきたからです。

 ドイツは、第四次産業革命の技術ともいわれ、ものつくりのデジタル化をめざす「インタストリー4.0」とエネルギーのデジタル化を組みわせていく予定です(本文「アクティブな地産地消で余剰電力を消費」参照)。

 現在、昨日サイトにアップした記事「エネルギーとデジタル化」でも述べたように、エネルギーのデジタル化においてビットコインの中核技術であるブロックチェーンがとても重要な技術になるとされています。さらに、エネルギーと「インタストリー4.0」を組み合わせることで、人工知能(AI)の適応範囲がエネルギー供給からものつくりにまで広がります。産業全体の流れが人工知能(AI)によってネットワーク化されるということです。

 ドイツ政府は、人工知能(AI)を今後の国家戦略にします。今の状況をみると、その意図がよくわかります。

 さて、日本はどうするのでしょうか。

2018年8月26日、まさお

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