2020年12月16日掲載 − 再エネいろは
日本は水素自動車に進んでいるようだが?
再生可能エネルギーQ&A

ぼくはこれまで、ベルリン@対話工房サイトにおいて何回も、自動車は電気自動車だといってきました。それに対して、日本は水素を燃料とする燃料電池車(水素自動車)に進もうとしています。トヨタが野心的に水素自動車を促進し、水素戦略は日本の国家戦略になっています。


ドイツでも、日本の野心的な戦略を脅威と感じている人もいます。でもぼくは、日本の戦略はドイツのように再生可能エネルギーを基盤としたものではなく、ドイツにとって脅威になるものではないと説明しています。


それは、なぜでしょうか。


ぼくは日本の水素戦略を、石炭火力発電と二酸化炭素回収貯留技術(CCS)を組み合わせた日本の技術販売戦略にすぎないと思っているからです。そこでは、エネルギーを将来どう使うべきか、政策として十分に考えられていません。


そこに、菅首相の突然の2050年までのカーボンニュートラル発言がありました。これも、将来のエネルギー戦略と産業政策を十分に考えて発言されたものではありません。


欧州連合(EU)など他国が2050年までのカーボンニュートラルを目標としているので、日本もそうしないと、国際的に遅れてしまう。その危機感から、突然の発言になったと思われます。


なぜぼくが、そう思うのでしょうか。


それは、2050年までのカーボンニュートラルを実現するには、たくさんの水素が必要になるからです。特に産業界で、多量の水素が必要になります。


その結果日本では、自動車と産業界で水素の取り合いになります。それを避けるには、自動車と産業界で競合しないように、どちらかが水素を諦めなければなりません。


今のところ、水素がないと、将来の産業は成り立たないと見られます。たとえば製鉄業では、コークス(炭素)の代わりに水素を使います。


水素を製造するには、たくさんの電力を消費します。それなら、はじめから自動車に電力を使ったほうが、無駄に電力を消費せずに効率的に使うことができます。省エネになります。


ここで日本が省エネを考えないのは、石炭火力発電と原子力発電でがんがん発電して、水素を製造するつもりだからとしか思えません。でも日本政府が本気で将来再エネを主流にするというなら、これはたいへんな矛盾です。


再エネを主流にするなら、水素も再エネで発電された電力で製造しなければなりません。でも自動車のためにまで水素が必要になると、再エネで発電された電力がいくらあっても足りません。


となると、再エネは需要を満たせなくなります。これはちょっと考えれば、誰にでもすぐにわかる問題です。


でも日本では、どうしてそこまで考えないのでしょうか。ぼくには、不思議でしかたありません。


(2020年12月16日)

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関連サイト:
アゴーラなど環境シンクタンクが共同で作成したドイツがカーボンニュートラル化するための戦略案ダウンロード(ドイツ語)
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