自動車が電気の貯蔵庫になる

 前回、自動車がビッグデータを集める手段になると書きました。ビッグデータの分野では、米国のデジタル産業が絶大な権力を誇っています。

 だから、自動車のソフトも米国デジタル産業の独断場になる心配があります。

 でも、ぼくは必ずしもそうならないと思っています。

 それは、自動車の蓄電池が今後、単に自動車のための蓄電池ではなく、電気の貯蔵庫として電力供給システムに組み込まれていくと思うからです。自動車のオペレーションシステムには、蓄電池制御機能がなければなりません。

 蓄電池の制御では、米国デジタル大手はそれほど強くありません。米国デジタル産業は、無人運転も含めて、自動車走行のオペレーションシステムを開発するのをメインにしています。この分野では、米国デジタル産業が先行しているのはいうまでもありません。

 でも蓄電池の制御となると、ドイツなど再生可能エネルギーへの転換を進めているところが進んでいます。再エネによる発電量の変動の大きさに対応するため、電気の貯蔵技術開発に力を入れているからです。

 ここでは、自宅や自宅周辺地域の電力消費データ、送電網の状況など電力供給システム全体の状況を把握することも必要になります。

 電気自動車の蓄電池を電力供給システムに組み込めば、その分、電力供給システムにはその投資コストが発生しません。自動車の蓄電池は電気自動車の一部で、自動車のオーナーが負担します。

 蓄電池の話をすると、リチウムイオン電池の製造にたくさんの電気を使うことが批判されます。燃料電池車の場合も、燃料の水素と燃料電池の製造にたくさんの電気を使います。

 電気自動車も燃料電池車も、それに対して自動車に必要な部品が半分近く減ります。リチウムイオン電池はいずれ、新しいタイプの蓄電池に代わっていくと思います。

 自動車の技術は、どんどん換わっていきます。単に今の段階の技術を批判するのではなく、将来の技術も考えた議論が必要です。

 自動車は単に移動手段ではなく、将来、エネルギー供給システムの一部となります。将来の可能性を考えた総合的な技術革新と、フェアな技術的な議論が求められます。

2020年3月01日、まさお

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