検査、検査、検査
新型コロナウイルスが世界中に広がっています。
そこで気になるのは、その感染者数です。感染者数は、検査しないと判明しません。検査数が多ければ多いほど、感染者数が増えるのは当然です。
ただこれまで、感染者数が発表されても検査数が発表されないのがほとんどです。
検査数がはっきりしないと、感染者が実際にどの程度広まっているのかがよくわかりません。検査数が少ないと、野放しになっている感染者が多いということにもなります。
野放しの感染者には、若い人たちが多い可能性があります。症状を感じなかったり、かぜのような症状だけで回復している人も多いと思います。それによって、社会に抗体を持った人たちが増えるのも大切です。
でもその間に、感染して死亡リスクの高い高齢者や既往症のある人を感染させている可能性は否定できません。
それからしても、日本で検査数が少ないのが気になります。
ドイツで行われている検査は、PCR検査です。それで、病原体があるかないかを検査します。ドイツでは、週に16万の検体を検査することができる容量があるといわれます。
ドイツで使われているPCR検査は主に、ベルリンのシャリテ大学病院で開発されたものだといわれます。森鴎外や北里柴三郎が留学していたところです。
連邦制のドイツでは、検査は中央管理されていません。各地域において独自に判断して検査が実施されています。それが、検査に柔軟性をもたらし、検査数が多い背景だともいわれます。
検査では、まずインフルエンザの早期検査をして陰性なら、新型コロナの検査をしているようです。検査をしたら、自宅で待機して隔離することを求められます。検査結果は、遅くとも翌日に知らされます。
日本では、PCR検査の結果が出るまでに数日かかると聞いています。なぜそんなに時間がかかるのか、ドイツからはよくわかりません。
日本には、いい加減な検査をするよりは、検査数が少なくても正確な検査結果を出したほうがいいとの意見もあるようです。確かに、それにも一理あります。しかし検査結果が出るまで、自宅待機などの厳しい対策を講じなかったら、正確な検査をしても意味がありません。
ドイツでは、検査自体には時間がかからないが、検体を検査するラボに輸送することに時間がかかっているといわれます。
検査で陽性となると、ますは自宅で隔離して、様子を見ます。頻繁に保健所から連絡があり、症状の有無が確認されます。症状がはっきりと出てくると、病院に入院することになります。
同時に保健所は、感染者をヒアリングして、接触者を特定します。接触者には自宅隔離が要請されます。必要に応じて、すぐに検査を求められる場合もあります。
症状が出てくると、呼吸が苦しくなることがあります。その場合、呼吸器が必要になります。病院に入院するしかありません。
感染者が増えて問題になるのが、病院に呼吸器が十分にあるかどうかです。
イタリアで死者が増大している背景に、呼吸器不足があるといわれます。呼吸器が足りないので、医師が呼吸器の補助で呼吸している高齢者から呼吸器を取り外して、50代や60代の感染者に呼吸器をつけなければならなくなっているといわれます。
それで、平均死亡年齢が高くなっていると見られます。
医師が、誰を生かし、誰を死なせるのかを決断していることになります。これは、とても過酷な状態だといわなければなりません。
昨日3月19日のニュースでは、イタリア北部で死者が多すぎて、火葬することもできなくなっていると報道されていました。そのため、何台もの軍のトラックがコンボイして、遺体をまだ火葬できる地域に移送する映像が流れていました。
死に際して、家族は死を看取ることはできません。埋葬する時も、家族のごく一部しか立ち会えません。
とても悲しく、つらい状況です。
イタリアでこうなった背景には、検査する容量が少なく、感染の初期段階において、症状が重くなって病院にきた感染者にしか検査をしなかったからだといわれています。
それでは手遅れて、感染の拡大にブレーキがかからなかったわけです。
そこまでならないようにするには、検査、検査、検査しかありません。検査によってできるだけ早く感染源を把握して、感染拡大のテンポが早くならないようにします。
ドイツにいると、日本で検査数が少ないのが非常に気になります。
(2020年3月20日、まさお)