感染者は(数学的に)どう増えるのか

指数関数的社会への警告(1)

 新型コロナウイルスが世界中に拡散しています。感染者と死者の増加で、社会生活と経済活動がほとんど麻痺状態になっています。

 ここで、感染者がどう増えていくかを数学的に見てみます。

 感染者は、前日の感染者からさらに増えていきます。たとえば、前日比の増加率が2%としましょう。増加率は感染が拡大するプロセスにおいて、実際には増加率自体も日々変わり、感染が拡大するまで(比例して)増加していきます。

 でもまず、その増加率が一定だと仮定しましょう。増加率を2%に固定します。

 その時、30日後の増加率は、単に2 x 30 = 60%増えて、1.6倍になるわけではありません。

 感染者は毎日、前日の感染者数に対して2%増えます。ですから30日後には、1.02の30乗に増えます。1.02の30乗は1.8余り。30日で、1.8倍になるということです。しかし100日後になると、1.02の100乗で約7.5倍に激増します。

 時間が経てば経つほど、その感染者数が格段に大きくなることがわかります。最初は、感染者数の伸びがそれほど大きくありません。でも日が経つにつれ、感染者数は驚くほどに伸びていきます。

 あるところから、伸びのカーブがほとんどまっすぐ上に伸びるようになります。これが、指数関数計算の特徴です。

 1日の増加率を一定と仮定しても、感染者は時間が経つにつれて、激増することがわかります。

 これでは、たいへんな事態になります。感染が指数関数的に拡大するので、感染者が莫大な数になります。

 感染は、感染者の割合が多くなって、感染する対象が少なくなるまで拡大します。ドイツの専門家は、全体で住民の70%が感染してしまう危険があるいっています。

 感染拡大の峠を超すと、今度は、感染者が指数関数的に減ります。感染者数の動きは、突如として持ち上がった一つの山のようになるということです。

 これが、パンデミックの問題です。

 感染が指数関数的に急テンポで増加すると、既存の医療体制ではもう感染者を治療することができません。病院に入院させて治療したくても、ベッドが一杯で受け入れられせん。たとえ感染者を受け入れても、人工呼吸器のある集中治療室のベッドの数には限界があるので、すべての人を治療できるわけではありません。

 その結果、医師は誰に人工呼吸器をつけるか、つけないか、誰を生かすか、死なせるかで、苦渋の選択をしなければならなくなります。

 そういう状況がすでに、イタリアやスペイン、フランスで起こっています。

 これが、各地で死者数が増加している原因です。死者数は、各地の医療体制によって大きく変動することが予想されます。それは、ウイルスだけの危険度で決まるわけではありません。

 それについても、注意が必要です。

 こういう状態にならないようにするため、できるだけ早くたくさんの検査をして、感染者をできるだけ広く把握し、野放しのステルス感染者をできるだけ少なくします。

 それが、防疫体制のいろはだと思います。その意味で、日本でPCR検査が進まないので、ぼくはなぜと思ってきました。

 同時に、社会生活や経済活動を制限して、人との接触を制限します。それによって、感染が拡大するテンポにブレーキをかけます。人との接触が、感染を拡大させるからです。

 それによって、野放しに感染が指数関数的に増加するのを抑え、人間が整備した医療体制で感染者を治療できるようにしようとしています。

 その対策が、今世界各地で行われています。あるいは、行われようとしています。そのためには、一人一人が社会に責任をもって行動しなければなりません。

 新型コロナでは今、感染がこのように指数関数的に拡大しています。それを放置すると、人間の能力は指数関数的な増加にいずれ対応できなくなります。

 新型コロナの問題は、この現実をぼくたち人間につきつけています。

(2020年3月27日、まさお)

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関連サイト(英語、ドイツ語字幕付き):
https://www.youtube.com/watch?v=Kas0tIxDvrg
https://www.youtube.com/watch?v=fgBla7RepXU

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