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ドイツの補助金の真相

 昨日、ドイツでフリーランサーや個人事業主に対して、補助金が申請後すぐに給付されたのは、国が申請者を信頼しているからだと書きました。

 次に、補助金とは何なのか、その実態についても書いておく必要があります。

 補助金には、国が州経由で給付するものと、各州がそれぞれ直接給付するものがあります。特に、補助金の用途で問題になると見られるのが、国による補助金です。

 国の補助金は、事業の経費に使うことが義務付けられます。つまり、事務所の家賃や備品の購入、出張費などに使うということです。人件費に使ってはなりません。

 ここで問題になるのは、アーティストなどのフリーランサーです。フリーランサーの場合、事務所はありません。自宅が事務所のようなものです。でも、それは経理上ほとんど事務所とはみなされません。収入のほとんどを生活費に使います。正確にいうと、収入を人件費(給与)としてフリーランサーの個人に支給し、その個人が生活費に使うということです。そこから、自宅の家賃を支払います。

 ただ国の補助金が、その人件費に使ってはならないとなると、補助金を給付しても、新型コロナで仕事がキャンセルされて収入を得る手段を失ったフリーランサーを助けることにはなりません。

 州の中には、その点の問題を配慮して、州の補助金を人件費に使ってもいいとしているところが結構あります。国の補助金が州経由で支払われるので、州の補助金と一緒に組み合わせて、国の補助金を人件費にも流用できるようにした州もあります。

 しかし、国の補助金は経費にしか使ってはならないことが明記されています。それをしっかり把握しないまま、補助金の申請をした人が多くいると見られます。この辺の補助金の定義が、今後補助金の用途を審査する上で大きな問題になることが心配されます。

 国は、フリーランサーの実態をよく理解していなかったとしかいいようがありません。補助金を人件費に使えない場合、フリーランサーはどうやって生きていけばいいのでしょうか。それに対して担当の経済省は、生活保護を申請するようにいっています。

 しかし生活保護では、資産をすべてチャックされるなど審査がとても複雑で、そう簡単には給付されません。生活保護が支給されるまで、長い時間待たなければなりません。国は、フリーランサーの生活を無視していたとしかいいようがありません。
 
 ドイツの補助金給付については、日本でよく注目されていると思います。この辺の真相も、しっかり伝えておく必要があります。

(2020年5月03日、まさお)

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