ネタニヤフ首相らに対する国際刑事裁判所の逮捕状は時代の岐路となる

 オランダのデン・ハーグにある国際刑事裁判所(ICC)は2024年11月21日、イスラエルのネタニヤフ首相らに対し、逮捕状を出しました。昨年2023年10月7日、ガザ地区のイスラム組織ハマスがイスラエルに侵攻します。その後イスラエルがガザ地区に侵攻し、戦闘が続いています。ICCはそのプロセスにおいてイスラエル側にも、戦争犯罪や人道を無視した犯罪の疑いがあると判断しました。

 ガザ地区での戦争はすでにレバノンに拡大し、まもなくイスラエルがヨルダン川西岸地区に侵攻して併合してしまう勢いです。しかしイスラエルを支援する西側諸国はそれを鎮めさせることができず、黙認せざるを得ない状態が続いています。

 ハマスの行為はもってのほかです。しかしその後、イスラエルが自己防衛の名目でガザ地区に侵攻してパレスチナ人を無座別に虐殺してきたのは、当然のことながら戦争犯罪の疑いがあります。人道問題で国際法を守っていないのも明らかです。イスラエルがヨルダン川西岸地区で入植を拡大しているのも国際法違反ですが、イスラエルはこれまで長年に渡り、それを承知で入植地をより拡大してきました。

 ぼくは、10月7日のハマスによるイスラエル侵攻後、ドイツでは人権に対して二重スタンダードがまかり通っていると主張しています。ドイツの憲法に相当する基本法第1条第1項に、「人の尊厳は,侵すことはできない」とあります。しかし今のドイツでは、人の尊厳は、白人(ユダヤ人を含む)と非白人の間で同じではないのです。白人の都合のいいように、「人」が区別されています。

 今回ICCははじめて、名目上民主主義国家であるイスラエルの首相に対して逮捕状を出しました。ウクライナに侵攻して市民を虐殺しているロシアのプーチン大統領に対しても逮捕状が出されています。それとともにICCは、プーチン大統領とネタニヤフ首相を同等に扱ったことになります。

 ICC加盟国はそれによって、ICCが逮捕状を出したプーチン大統領とネタニヤフ首相が自国に入国した場合、拘束してICCに引き渡すよう義務つけられます。しかしロシアも米国もイスラエルも、ICCには加盟していません。

ドイツでは国会が毎年6月から統一の日の10月3日まで毎晩、政治教育を兼ねてドイツの近代史と政治の映画を上映している。しかしドイツの今の状況、特にイスラエルとパレスチナに対する対応の違いを見ると、ドイツは戦後何を学んできたのか疑問に思う。写真は、国会の政治教育映画の一部から。

 今後、西側諸国がこれまで通りイスラエルに武器を供与すれば、イスラエルによる戦争犯罪に加担したことになります。それでいてロシアに武器供与する国々を批判するのは二重スタンダートであり、説得力がありません。さらに米国を中心としてヨーロッパ諸国は、ロシアによるウクライナ侵攻に対して経済制裁を課しています。西側諸国が今後、イスラエルに経済制裁をしないままでおり、ロシアにだけ経済制裁を課することに協力を要請すれば、ここでも二重スタンダートになります。

 その結果、西側諸国のいう民主主義や人権などの価値観は、自分たちの都合で如何ようにも変わってしまうものであることが暴露されてしまいます。都合主義です。それが、世界中の諸国、市民により明らかになります。

 今回ICCがイスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状を出したことで、西側諸国がどう対応するかが問われます。その対応次第で、西側諸国の信用と価値観が崩壊してしまう危険が伴います。これまで通りの対応をしていては、西側の価値観は都合主義のいい加減なものであるかが明らかになるだけです。

 それでは、世界は西側諸国を信用せず、離れていくばかりです。世界はICCの逮捕状によって、時代のたいへん重大な岐路に立たされました。それがどういう方向に向かうかは、西側諸国の対応次第です。
 
(2024年11月25日、まさお)

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関連サイト:
国際刑事裁判所(ICC)