国際社会の構造問題
前回、国内の構造改革の問題について述べた。この構造問題は、国際社会においてもっと顕著になる。先進国と発展途上国という表現があるが、これは国際社会における構造問題だと捉えるべきだ。それが、貧困という大きな格差を生んでいるともいえる。
貧困を構造問題として捉え、貧富の差を国際社会の構造問題として解消できるように改革しなければならない。そうしない限り、貧富の差の問題、さらにそれに伴う難民の移動の問題は解決されない。
しかし、ここには資本主義の根本的な問題がある。それは、経済、資本主義は格差がない限り、成り立たなということだ。
それは、今の資本主義経済の基本的な構造を見てみればわかると思う。
製造コストをできるだけ下げて、それに利ざやを上乗せしない限り、企業は利益を上げることができない。利ざやは多ければ多いほどいい。だから、生産拠点は労働コストの安い地域に移転される。でも移転した地域では、生産が続くと生活水準が上がり、生産コストが上がっていく。すると、次にもっと安く生産できるところを探すしかない。
これが、資本主義の基本的な構造だ。
生産コストを下げるため、移転先では環境基準や労働基準も無視される。労働者は、有害な農薬や化学薬品を使いながら、労働者の健康を無視して安く働かされる。それが、安いということの意味だ。安いことには、背景があることを知らなければならない。
本来、国際的に調和された基準が全世界で適用されるべきなのだ。でも、生産コストを下げるには、それは邪魔だ。だから実際の生産地では、消費地で適用されている高度な環境基準や労働基準は使われない。こうして、不均衡や不公正さが生まれる。
消費地は、生産地の犠牲の下で成り立っている。豊かさは、貧困の犠牲の下で成り立っているのだ。
でも将来、生産がロボット化されると、どこで生産しても生産コストに大きな差が生まれなくなる。生産地の生活レベルが上がれば、労働コストにも大きな差が現れなくなる。
その時、格差で成り立っている資本主義はどうすべきなのか。その準備をすでにしているだろうか。
それとも、格差が消滅しないように、いかなる施策でも講じるのか。でも時代の流れからすると、それは無理な話ではないのか。
(2018年11月19日、まさお)
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